63 私の計算では
「私の計算では、十一日と十九時間後に、パリサイドの重力圏の端部に到達する見込みです」
「えっ」
「パリサイドの安定軌道に乗るまでその後五十九時間程度、地面に立つことができるのは、プラス三十時間程度というところでしょう。順調に最短でいけば、ということです」
「そんなに早く……」
「ニューイヤーの祭りには間に合いませんが」
パリサイドの母星……。
どんなところだろう。
もっと聞いてみたいことがたくさんあったが、そろそろ本題に入らなければ。
「プリブの件ですが」と、促した。
椅子の背は、また黙り込んだ。
パリサイド達が住む星、パリサイド。
過ごしやすいところだとか、地球と似ているといった情報は、それなりに得ている。
太陽のような恒星を回る惑星のひとつだろうか。
それなら、地球と同じように、光溢れる昼と、闇があらゆるものの姿を隠す夜が交互にやって来るのだろうか。
そんな想像を膨らませることはあったが、それより今は目の前のことを。
「なにか、ご存知のことがあれば、教えていただきたいのです」
ようやくキョー・マチボリーが何かを言いかけた。
知らぬと言ったように聞こえた。
ただ、予想していた回答ではある。
「では、お伺いします。一般市民を連行する権限を持っているのは、どんな組織でしょう」
これなら答えられるだろうか。
「少なくとも、当船の乗組員ではないと言えます」
と、椅子の背。
「私が統括している武装部隊は、船の安定的な就航を維持するためだけに配備しているものです。市民の生活に、いかなる関わりも持ちません」
私は頷いて、次の言葉を待った。
またしばらく間が空いた。
どう返答したものか思案しているのか、私には聞こえない方法で船長としての指示を出しているのかもしれない。
粘り強く待った。




