52 すぐさまダンスの申し込みを
誰もが声をあげて笑った。
ライラは手を叩いて囃し立て、チョットマの気分を盛り上げようとしてくれる。
「で、その可哀想なカエル、どうした? 後で見に行ってやったのか?」
ンドペキがチョットマの腕をポンポン叩く。
「まだまだ……先があるよ……お話はこれから……が本番……」
チョットマも少し笑った。
私達の席の前まで来たけど、パパはカーテンを下ろしてた。
今の話を教えようかなと思ったけど、時間には限りがあるでしょ。
仮面舞踏会遊びが何時間くらいあるのか知らなかったし。
コスチューム選びに、時間掛けすぎちゃってたから。
まだ、私、誰とも踊ってないし。
「カエルの話を聞きに、ずいぶんと道草したしね。で、その後は?」
イコマは、そう言って話の続きを促した。
実際はもう聞いている話。
チョットマは目を輝かして、また話し出した。
ホールに降りていくと、すぐさまダンスの申し込みを受けたわ。
さすが、オペラ座のマスカレードね。
それも二人同時に。
お客さんを飽きさせない。
ひとりは大男で、ものすごい髭を生やして、角の生えた鉄の帽子を被ってた。
分厚い胸板やブーツには鋲がびっしり並んでいて、とても手を取って一緒に踊れるような相手じゃない、みたいな。
大げさな剣をガチャつかせて、「お嬢さん、一曲、いかがでしょう」と、手を差し出されても。
手甲にも棘棘、ついてるし。
もうひとりは、体型は普通だけど、コスチュームが……。
まるで緑色の大トカゲ。
体にフィットしているというか、全身ぴちぴちの。
どんな素材でできているのかわからないけど、黄色に緑に発光してるの。
目だけが本物の眼なんだけど、パリサイドの目。さすがに目を合わせるのも恥ずかしい、みたいな。
同じように「踊りませんか」と言われたけど。
ここは、断るべきなんだわ。
マスカレードの頭脳は、もっといい相手を差し出してくれるはず。
いや、ここでどちらかを選ぶのがシナリオなのかな。
待てよ。
こうやって悩んでいる間に、私を巡って決闘でも、なんて思ってみたり。
という間に、もうひとり、現れたの。




