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317 誰彼なく寝て、っていうお触れでも?

「やほ! パパ!」

 チョットマが部屋に飛び込んできた。


「ほーい、なんだい」

「ママが来て欲しいって。レイチェルに説教するんだって!」

「説教?」


 チョットマがユウをママと呼ぶとき、以前は感じた躊躇いはもう全くない。

 アヤもそうであったように、チョットマは血の繋がりのない父母に対して濃厚な愛情を持っている。

 イコマは、本当の親子でないことが、その愛情をより強くしているのかもしれないと思うことがあった。

 互いに意識して愛情を表すことが、大切なのかもしれない、とも思うのだった。



 早く早くとチョットマが急き立てている。

「ああ! じれったい!」


「そういうな」

 チョットマに腕をとられて、イコマも駆け出した。

「危ないぞ!」

 ごつごつした岩肌がむき出しの狭くて暗い通路。


「どこへ?」

「ママの仕事場!」


 ユウは、アングレーヌ他数人を部下にして、厚生局長に就任していた。

 最近は、市民の精神的な健康管理のシステムを、ローテクながら作り出そうと奮闘している。



「説教って、なんだ?」

「レイチェルが、変なお触れを出すつもりなんだって」

「お触れ?」


「多産社会を目指すんだって。人類は今、人口を増やさないといけないから」

「そりゃいいじゃないか」

「そう? 子供を産める年齢の女性は、誰彼なく寝て、っていうお触れでも?」

「はあ?」

「ダメでしょ」


「アカンに決まっとるやろ! ほんまに! レイチェルは何考えとるんや!」

「だから、早く!」

「そんなことをしたら、レイチェルの部屋の前に、数キロの行列ができるぞ!」

「そこ? ハハ。笑えないね」

「しようのないやつやな!」



 レイチェルは本気ではない。

 それくらいの意気込みで、みんな早く相手を見つけなさいよ、というわけだ。

 もちろんレイチェル自身も含めて。

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