312 真相の真相 パリサイド襲来
地球に極大太陽フレアが襲ったときから、時代が進むこと三百三十三年、あたし達はもう地球には住んでいなかった。
当初は地底深く、あるいは海底深くに潜んで住んだ。
人類としての再起を待つ年月。
文明は破壊され、まるで石器時代に逆戻りさ。
しかし、太陽フレアもその勢いを弱めるときがある。
その時を狙って、少しずつ地表に拠点を築いた。
しかしまた地底に逆戻り。
そんな繰り返し。
とうとう、地球を諦めたのさ。
移住先の星はRCLと名付けた遠い星。
そこで人類の文明を再構築していったんだ。
何もないとはいえ、一度は持っていた文明。再興は当初考えられていたより早かった。
五十年後にはまあまあの水準に到達し、そこからは緩慢な進化を続けた。
様々な宇宙生物と戦い、あるいはごく少数だけど友好関係を結び、コロニーとなる星を開拓し、全体としては豊かな社会を作っていった。
あたしゃ、まだ生まれていない頃のことさ。
それから三百年ばかり。
あたしがまだ二十過ぎの頃。
現れたんだ。
奴らが。
襲ってきたんだ。
パリサイドが。
人類の人口はコロニー人口も併せて十億足らず。
対するパリサイドはその万分の一。
しかし、武力は全く比べ物にならなかった。
こちらは相変わらず生身の人間主体だし、人工的な処置を施された者といっても、宇宙空間を自由に飛び回れるわけでもない。
月を一気に吹き飛ばす火力さえない。せいぜいアルプス山脈のひとつの山を爆破するのが関の山。
それに対してパリサイドは、全く違う、高度に進化した体躯を持っていた。
詳しく説明する必要はないから言わないが、もう人類という言葉さえ当てはまらない異種の生物。
彼ら自身、自分が人類だとはもう思っていないだろうよ。
地球に生まれ、地球を故郷に持つ生物、なんて概念もないだろう。
人類のオリジナルな遺伝子なんて、彼らの体にはもう痕跡しか残っていないだろうね。
もう、「人」じゃないさ。
それに、その意識にあるものは「聖戦」のみ。
もちろん、背後にロームス。
いや、言い方を変えようか。
すべてはロームスの意志。
パリサイドは道具。
人格なんてものはない。そんな意識もない。
ただの殺戮ロボット。




