198 真相の真相 またな、って言っておくよ
そうだ。
ろくでなしのために、ひとつ言っておこうかね。
イコマがどう説明したか知らないが、これを聞いているということは、あんたは助かったんだね。
オーエンは、ロームスを粉砕するにあたって、すべてを犠牲にするつもりだった。
宇宙船スミヨシもその中にいる人も、何もかも。
未来から来た自分達も含めて。
まあ、実際、あたしたちはもう生きていけないさ。
未来に向かって、おかしなことになっちまうからね。
地球に残った人に人類の未来を託すつもりだったんだ。
だけどね。
あたしゃ聞き耳頭巾のおかげで、自分の意識をしっかり持っていた。
そうさせるわけにゃいかないよ。
みんなが乗っている。
でね。
アヤから借りた聞き耳頭巾をホトキンにも使った。
あのぼんくらにも効き目はあったんだね。
あたしの言うことを聞いて、ある細工をしてくれたんだ。
オーエンに気づかれないように。
ベータディメンジョンから噴出するエネルギーのその最先端、事前波を受けて宇宙船を太陽系の近傍の星域にジャンプするように。
うまくいったんだね。
それから、あんたが今手にしている石も作ってくれた。
あのろくでなしも、最後にゃ、いい仕事をしたってことさ。
あたしのために。みんなのために。
さあて、しみったれた自慢話になったところで、そろそろおしまい。
あたしの柄じゃないから言わないが、こんな話を聞いて欲しかったあたしの気持ちを分かっておくれ。
チョットマ、スゥ、アヤ、レイチェル、そしてイコマ、ンドペキ、ニューキーツのみんな……。
ん?
チョットマやイコマは、プリブは?って、聞きたいだろうね。
どうしていたのかって。
言わないよ。
でも、これだけは言っておこうか。
オーエンに忠誠を誓ってやるべきことをやって。
たが、チョットマのことは‥‥‥。
いや、やめておくよ。
あ、そうそう。
レイチェル、きっちり生き延びるんだよ。
あんたには、特にそう言っておくよ。
お別れだ。
さよならは言わないよ。
またな、って言っておくよ。




