303 真相6 奈津、NATU、ネイチャー……
そう。
彼女は知っていた。
僕たちは、もっと早くに気づくべきだったのかもしれない。
そして、キャプテン・キョー・マチボリーの不安に気づくべきだったのかもしれない。
気づいたところで、という面はあるけどね。
少なくともプリブの行方について、不安は和らいだはず。
ああ、とチョットマが溜息を漏らした。
「だね。チョットマがライラを紹介したとき、キョー・マチボリーは明確にこう言ったんだ。不思議な……、出生に……」
チョットマとレイチェルが互いの目を見交わした。そうだったねと。
「そのキョー・マチボリーの不安は、なんて失礼な!、ということで収まったけど、少なくともキャプテンはなにかを感じていたんだ。ライラという女性がここにいることの、なんて言うか、不思議について」
なるほど、というようにレイチェルが頷いた。
「それに、キャプテンはこんなことも言ってる。地球からみえた人の中には、一風変わったご仁もおられると」
キョー・マチボリーは今、この会話を聞いているだろうか。
今、彼の体力は回復し、船の運航はもちろんのこと、市民生活に大きな役割を担ってくれている。
キョー・マチボリーは宇宙船スミヨシの意志そのもの。電脳の存在であることはもう誰もが知っている。
オーエンがエーエージーエスのシステムそのものであったように。
「この一風変わったご仁、についてはもう少し後で話します。ライラのことじゃない。もうわかってる人もいるだろうけどね」
少し待とう。
キョー・マチボリーが声を掛けてくるかもしれない。
ふむ。
その気はないようだ。
では、話を続けよう。
「それから前夜祭での出来事。ライラはこれまで以上に聞き耳頭巾に強い関心、というより執着を持っていた」
彼女は、聞き耳頭巾の布を貸して欲しいと頼んだ。
そして、頬ずりするように布をかき抱き、こう言ったんだ。
ネイチャー、あんた、いったい、どこに行ったんだい。
「そして、僕たちにはピンとこない説明をしてくれた。そしてこうも言った」
こういう姿になるとはねえ。
「明らかにライラは、この聞き耳頭巾の布のこと知っていた。この形かどうかは別にして。珠と言っていたから」
アヤを見た。
もう分かっているのか、すました顔で見つめ返してくる。
「アヤにこの頭巾を授けたのは奈津という女性。お婆さんだ。京都の山奥の村の長老の一人。巫女。僕もユウも会ったことがある」
奈津、NATU、ネイチャー……、綴りは……。
ん……、ま、全くの想像だけどね。




