300 真相4 完全武装した者とは
ふう、とイコマは息を吐き出した。
プリブがステージフォーとは何ら関係がないという事実の証明は、これで十分だろうか。
いや。
プリブの名や姿がどこにも出てこないというだけで、そこにいないという証拠にはなっていない。
この話をするしかない。
イコマはチョットマとスミソの顔を代わる代わる見た。
「チョットマ。最初、君が言ったことを覚えているかい」
「なあに」
「プリブを逮捕した連中、彼らはどんな服装だった?」
「えっと、武装していて、あっという間に……」
「スミソ。君はどうだい?」
「私もそのように覚えています」
ふむ。
もっと、表現してくれ。言葉として。
「もっとあるだろ。君たちが入れてくれた情報は」
チョットマとスミソが顔を見合わせる。
覚えていないかもしれない。
「君たちはこう言ったんだ。二人の武装したパリサイドが現れて。そして、引き立てられていくのを追いすがっても、結局は呆然と見送るしかなかった、とね」
「あ、そうです。そう言いました。そのパリサイドは完全武装していて、僕達の目の前でプリブを捕まえたのです。僕もチョットマも抗議しましたが、受け入れてくれるどころか、全く無視されたも同然で。あっという間に走り去って、後を追うこともできませんでした」
たいして重要なことではない。
しかし、それが初期段階の思考を、全く果実のない方向へ導いたのだった。
だが、今ここでそれを指摘して、この二人を責めることが目的ではない。
推理をより正しい方向へと誘う、前触れとして彼らの自尊心に少しだけ犠牲になってもらうだけだ。
イコマはあっさりと話を進めていった。
「完全武装したパリサイド。あの宇宙船の中で、それは軍か、警察か、治安か、キョー・マチボリーの私兵しかなかったわけだ。しかし、もう一つ、ある。分かるよね。ニューキーツ東部方面攻撃隊。スジーウォンの部隊」
「えっ!」
チョットマの驚きの声と共に、スジーウォンの顔が引きつった。
「それに、どう? 彼らの行動なら、例のフィルムぐるぐる巻きにするんじゃないかな」
「それは……」
「そうじゃなかったんだろ?」
「……」
「もちろん、スジーウォンが差し向けた者ではない。でも、彼らがパリサイドだという証拠はあるかい?」
あろうはずがない。完全武装していたのだ。
その装甲の中身がパリサイドだったのかどうか、分かりようがない。
「僕は考えた。アイーナの配下である軍ではなく、警察でもなく、治安でもなく、そしてキョー・マチボリーの部下達でないなら、東部方面攻撃隊しかないではないか」
ただ、自分の仮説に自信を持てないでいた、と正直に言った。
「でも、ある時から、それは少しずつ確信に変わっていったんだ」
パリサイドの軍の完全武装。
それは、全く異質なものだった。
後に、グラン・パラディーゾで初めてそれを見た。
彼らの完全武装とは、東部方面攻撃隊のそれとは全く違うもの。
あの時、それを見ていたのなら、チョットマとスミソはそう言ったはず。
相手の所属を示す大きなヒントなのだから。
見慣れた武装だったから、単に完全武装、と言ったのではないか。




