299 真相3 奴らが知りたかったもの
パリサイドの星に充満する白い霧。
宇宙船スミヨシの街に漂っていた白い霧。
マスカレードの中でさえ渦を巻いていた白い霧。
それは、宇宙生物ロームスの肉体、あるいは意識。
奴らが知りたかったものとは。
恋の激情、愛の深遠。
人の脳裏にある記憶を網膜に映してみせ、言葉にならない質問を発することによって生まれる、あるいは変化する心理を読み取ろうとしていたのだ。
奴らには、奴らの言葉を借りると、一人は全体で、全体は一人。つまり、個というものは存在しない。
相手というものがない。ましてや異性もいない。
恋や愛という感情が生まれる素地はない。
人の心を占めるその大きなものに、興味が湧いても不思議ではない。
奴らが知りたいそういった感情。
その一つの究極点として、奴はアヤに目を付けた。
その相手は、アヤが離婚した相手、ミズカワヒロシ。
二人を引き合わせることによって、二人の心に生まれる何かを見たかったわけだ。
僕は、そう思っている。
僕やンドペキがあの時、ミズカワに後を付けられるというへまをやらかさなくても、早晩、ミズカワはステージフォーの「計らい」によって、アヤの部屋を訪れていたことだろう。
実際、ステージフォーの幹部がそれらしいセッティングをしている。
アヤとミズカワを二人きりにする演出を。
ロームスに操られた連中が。




