297 嘘をついているという気がして
そう言いながら、イコマは自分が嘘をついているという気がして仕方がなかった。
プリブの行方を捜して求めていたのか。
ンドペキ、スミソ、そしてチョットマと続いた原因不明の病気。
そして依然としてアヤが狂信者集団「ステージフォー」に操られていたから。
実際、それどころではなかった。
「警察に囚われたのではない。治安省にでもなく、宇宙船スミヨシの船長キョー・マチボリーの部下達によって連れ去られたのでもない」
当時、市長のアイーナを信用していたといえる。
その配下である警察省や治安省でないとすれば、キョー・マチボリーを怪しむことになるが、彼に諭された言葉に心を揺さぶられてもいた。
あの時、物事を大きく見ろという助言に、生意気な、と反発したものだったが、それはアヤのことが心を占めていた時に聞いたもの。素直に受け取れるはずもない。
しかし、今にして思えば、その当時から心の中では、キョー・マチボリーの言葉はもっともだと思っていたし、船長はプリブの件に無関係だと考えていたと思う。
彼らに捕らえられるどんな理由も考えられなかったのだから。
「そして、安易に考えてしまった。プリブもあの連中に囚われたのではないか、と。アヤと同じように」
宗教団体とはいえ、つまりは狂信者集団。
「ステージフォー」の実体が明らかになっていきつつある時期だった。
ありもしない存在。頭の中でひねくり出した神というもの……。
よくもまあ、そんなものを持ち出して……。たぶらかそうたって、そうはいかぬぞ……。
これがこれまでの僕の宗教に対する反応だったが、今回はさらに始末が悪かった。
というより、不愉快極まりない。
今、不愉快という穏便な言葉を使ったが、ここで神などという言葉を使うことさえ虫唾が走る。
「そいつはロームスという名を持つ、宇宙生命体だった」
ロームスとは、パリサイドのいかれた連中が付けた名。
チョットマが聞き耳頭巾のショールを使って、そいつと言葉を交わしている。
フロッグという名までつけて。
「実際問題、僕は気が気ではなかった。チョットマがそんな奴と話している。普通ならそいつに思考を奪われてしまうところ」
チョットマは戦っていたんだけど、本当にもう、一歩間違えば……。
僕としては祈ることしかできないし……。
チョットマを信じてもいたし。
しかし、その会話の中で気づいたことがある。
心の中に渦を巻き始めたステージフォーに対する嫌悪感を押し留めて、こう言った。
「ところで、サワンドーレって奴、覚えてる?」




