21 その言葉ひとつによって
「空間三次元に時間を加えて4次元、と考えられてたでしょ」
「ああ」
「それも違ったのよ。実際は、三の三乗の空間、つまり二十七次元。次元というからややこしいけど、軸、つまり27個の次元要素があるってことね」
「そんなに!」
「地球人類はここをホームディメンジョンと呼んでたけど、私達はJディメンジョン、つまりユリウスディメンジョン、て呼んでるわ」
こうしてユウは、少しずつパリサイドの世界観を教えてくれる。
理解を超えているし、正直に言うと、どうでもいい話だと思うこともあった。
しかし、なんとか理解したいとも思っている。
それがひいては、神の国巡礼教団解体後、彼らが自らをパリサイドと呼ぶようになった経緯や、この肉体を持つようになった経緯を理解する元になる。
パリサイドの歴史を知る上で、彼らが得た宇宙観を知らねばならない。
かといって、イコマにとって、歴史はそれほど重要ではない。
歴史学者でもないし、興味がそそられることもない。
知りたいのは、ただ一つ。
ユウが過ごしてきた年月の中身だけ。
ユウが話すパリサイドの世界観の話を面倒とは思うが、それが、いつも黙って聞くことにしている理由。
そしても一つの理由。
この呪われた身体。
ユウが以前、口にした言葉。
あれ以来、聞くことはないが、ずっと気になっている。
自分がその身体を得ることになったからではない。
この数百年の間にユウに降りかかった数多の出来事が、その言葉ひとつによって、決して幸せに満ちたものではなかったことを雄弁に語っている。
それを、いつかは知りたいと思っていた。




