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195 真相の真相 小さな石

 アヤが進み出て、聞き耳頭巾の布を差し出した。

 イコマはその上にライラの石を置いた。



「あっ」


 小さな驚きの声があった。

 イコマも息を呑んだ。


「ライラ……?」


 聞き耳頭巾に載せられた石から一人の人物が立ち上がった。

 小さい。

 身長五十センチほど。

 若い女性だ。

 アヤが聞き耳頭巾の布を捧げ持っているおかげで、その人物の顔がちょうど目の高さにある。



「レイチェル?」


 その人物像は、どこかレイチェルに似ていた。

 座っていた者たちが、アヤの周りに殺到した。


「ライラ!」

「お婆さん!」

「しっ、静かに」


 その人物が語りだそうとしていた。




「さあて、これを聞くのは誰だろうね」


 まさしくライラの声だった。




 まずは礼を言わなくちゃいけないね。

 あたしの最後のメッセージを聞いてくれることに。

 一回しか言わないよ。

 もしここにチョットマやスゥや、レイチェルやアヤ、ニューキーツの皆がいないなら、伝えておくれ。


 あたしやプリブ、そしてあたしのろくでなしの夫、そしてオーシマンが何者だったのか。

 なぜ、オーエンがあんなことをしたのか。


 そんなことはきっともう、イコマが鼻の頭でも擦って、思い付きを並べ立てたことだろうよ。

 それは正解とまではいわないけど、たぶん外しちゃいないさ。

 あれだけヒントを出せば。

 だから、要点だけ言っておくよ。




 地球に極大太陽フレアが襲ったときから、時代が進むこと三百三十三年、あたし達はもう地球には住んでいなかった。


 当初は地底深く、あるいは海底深くに潜んで住んだ。

 人類としての再起を待つ年月。

 文明は破壊され、まるで石器時代に逆戻りさ。

 しかし、太陽フレアもその勢いを弱めるときがある。

 その時を狙って、少しづつ地表に拠点を築いた。

 しかしまた地底に逆戻り。


 とうとう、地球を諦めたのさ。


 移住先の星はRCLと名付けた遠い星。

 そこで人類の文明を再構築していったんだ。

 何もないとはいえ、一度は持っていた文明。再興は当初考えられていたより早かった。

 五十年後には元の水準に到達し、そこからは緩慢な進化を続けた。

 様々な宇宙生物と戦い、あるいはごく少数だけど友好関係を結び、コロニーとなる星を開拓し、全体としては豊かな社会を作っていった。


 あたしゃ、まだ生まれていない頃のことさ。



 あたしがまだ二十過ぎの頃。

 現れたんだ。

 奴らが。

 襲ってきたんだ。

 パリサイドが。


 あたしが、まだ生まれていない頃のことさ。



 が。

 あたしがまだ二十過ぎの頃。

 現れたんだ。

 奴らが。


 襲ってきたんだ。

 パリサイドが。

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