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168 なにが、占い婆さんだ!

 待てよ!

 ということは!


 我々もろとも!


 ライラが、オーエンの目的を口にしないのは、そういうことではないのか!


 なんということだ!

 この宇宙船など、ひとたまりもない!

 跡形もなく消え去る!

 逃げ場はない!



 考えればすぐにわかること。

 きっとユウも、そこに思い至ったことだろう。

 今、厳しい顔をしてすぐ横に立っている。


 ユウ!

 うわわわわっ!


 チョットマに帰ってきて欲しいなど、なんと浅はかな!

 なんと思慮のない!


 チョットマ!

 帰って来るな!

 死ぬだけだ!

 向こうでンドペキと一緒にいるんだ!


 あわわわっ!

 どうする!

 どうすればいい!

 ユウ!



 イコマはパニックになりかけていた。


 オーエン!

 何をしてくれたんだ!

 いくら、神の国巡礼教団が憎いからといって、パリサイドが憎いからといって、こんな報復の仕方があるか!

 サーヤを殺して、納得しやがれ!


 くそお!

 なにをしやがる!

 おまえにどんな権利があって!

 こんなに多くの人を巻き添えにするとは!


 こんなことのために、地球からこの宇宙船に乗り移っていやがったとは!

 ライラもライラだ!

 それを知っていながら、これまで黙っていたとは、どういう了見だ!


 なにが、偉大な科学者だ!

 なにが、占い婆さんだ!

 なにが青蟻衆だ!




 もう、我慢の限界だ。

 黙っているわけにはいかない!

 ここで突っ立っているわけにはいかない!


 しかし、何をすればいい!



「ユウ!」

 決断すべき時ではないのか!

「ユウ!」


 グラン・パラディーゾのシャットダウンを!


「ユウ!」


 ユウが悲しげな顔をして首を横に振った。

 そして、小声で言った。


「シャットダウン?」

「そう」

「もう試してみた」




 オーエンの声。

「それで?」

「おおっ。聞いてくれるか!」

「いつまで待てばいいんだ?」


 ライラがオーエンの説得に成功した。


「調査団が帰ってくるまで。そうさな、遅くとも十時までには全員揃うだろう」

「ふざけるな、ライラ。俺が何も知らないと思っているのか」

「分かった。では、九時半だ」

「そんなに待てるか!」

「九時!」

「ふん。最初からそう言え!」

「ありがとうよ!」

「それまで、エネルギーが持たないと判断したときには、約束は反故にする。いいな!」

「仕方ないんだろ」



 しかし、全員揃ったところで、一網打尽に消滅となれば意味がない!

 全員揃ったところでグラン・パラディーゾを止めてもらわねば。


「ライラ! しかしだな! 僕はどうなってもいいが、チョットマが死んでは!」

 とまで言ったとき、ライラが聞き耳頭巾の布を頭上に掲げた。


「あんた、何も知らないんだろ。知らないんなら、黙っていな!」

「なに!」

「黙らっしゃい!」



 うわずったスタッフの声がした。

「レベルの上昇が止まりました! 少しづつ下がっています!」

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