15 だめ、震えちゃ
ほんの一キロも行かない路上で倒れているンドペキを見つけたのは、夜明けからまだ半時間も経っていないときだった。
「ンドペキ!」
脂汗をびっしりかいて、ベッドに横たわったンドペキ。
チョットマは何度も呼びかけるが、反応はない。
「どうしたのよ! ンドペキ!」
傍らでスゥがライラと話し込んでいる。
ンドペキの意識を戻す妙案はないようで、ボソボソ声しか聞こえてこない。
スジーウォンはちょっと覗いただけで、飛び出していった。
隊員たちを集め、アヤの捜索に向かってくれるという。
プリブの件のすぐ後。
しかも、パリサイドは出歩かないという「双戯感謝祭」。
命に別条がないなら、隊員たちをあえて動揺させることはない。
ンドペキのことはまだ伏せておいて欲しいとスゥから頼んである。
ンドペキの心肺に異常はない。身体のどこにも怪我などない。
ただ、眠りから覚めない。
夢にうなされているのか、時々、びくりと身体を震わせる。
「ンドペキ……」
汗を拭き、呼びかけることしかできないチョットマ。
だめよ、震えちゃ。
チョットマは、自分に言い聞かせていた。
取り乱したりしない……。
ンドペキを大好きだった。今もそれは変わらない。
何度、助けてもらったことだろう。
ンドペキのおかげで、私は少しづつ大人になったようなもの。
彼への気持ちをどんな言葉で表せばいいのだろう。
ああ、ンドペキ……。
ここで自分がスゥのお荷物になってはいけない。
彼女の助けにならなくてはいけない、だから。
それでも、弱音を吐きそうになる。
「どうして……」
硬く目を閉じ、歯を食いしばっているンドペキの額を撫で、腕をさすりながら、涙がこぼれそうになるのを必死で堪えていた。
「スミソが!」
と、隊員が走りこんできた。
「倒れている!」
飛び上がったチョットマ達に、隊員が叫んだ。
「ベッドを用意し、!」
そして目を剥いた。
「なっ! ンドペキ!」




