14 考古生物学者
ドアに浮かび上がったパリサイドは、やけにか細く、背丈も小さい。とても危害を加えに来た者だとは見えなかった。
声はしっかりしているが、どことなく子供のような声音をしている。
ありがとうございます、と今では見たこともない大げさで古風な仕草で、深々とまた頭を下げた。
「ンドペキ殿は……」
パリサイドの顔。
表情は乏しく、心は読み取りにくい。
「今は、いない」
フイグナーは落胆したのか、がっくりと肩を落とした。
「お戻りは……」
「わからない」
「そうですか……。では、出直してまいります」
出ていこうとする立体映像の背中に、スゥが話しかけた。
「どういうご用件? 謝りたいこととか、相談したいこととか」
フイグナーはちらりと迷った様子だったが、向き直り、実は、と話し始めた。
「ありがとうございます。では、僭越ですが、まず自己紹介をさせてください」
考古生物学者だという。
「ンドペキ殿とは一度、お会いしたことがありまして。ここでご相談できる人は、ンドペキ殿しかないと」
「それで?」
「ようやく、ここにおられることを知り、矢も楯もたまらず、こんな深夜に失礼は重々承知ではありますが、お伺いいたした次第です」
フイグナーは少しリラックスしたのか、わずかな笑みを見せた。
「ンドペキ殿には大変失礼なことをしたと、悔やんでおります」
それは海、
とまで言ったとき、男の姿はふいに消えた。




