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14 約束を守らないとは

 荒地に立っていた。

 砂塵が舞っている。

 武装している。兵士の姿だ。


 ヘッダーを透してみる空は晴れ渡り、ゴーグルのモニターには、隊員達の印が移動している。

 ハクシュウやチョットマの文字が見える。

 作戦中のようだ。

 前方には川が流れている。

 その中央に人の姿。


 ニューキーツ東部方面攻撃隊の作戦。

 こいつはまた、いつのシーンだ?


 やけにリアルだ。



 相手を見つめた。

 先ほどと同じように、これが幻影なら、相手はこちらに気づかないはず。

 それでも念のため、ンドペキは使い慣れた武器を構えた。


 自分の装甲。

 自分の武器。

 なんの違和感もない。



 と、相手が走り始めた。

 猛烈な勢いで突進してくる。

 攻撃される!


 これは幻影!

 こちらに気づかないはず!

 通り過ぎていくだけだ!

 挑発に乗るな!



 しかし、体が反応していた。



 放った量子弾は空しく大気を切り裂き、相手は頭上高く舞い上がっていた。



 ぬ!

 これは!


 相手は、ンドペキを飛び越し、ふわりと降りてくる。



 あの時の!


 彼女は言うだろう。

「約束を守らないとは」と。



「くっ」

 幻影に反応してしまった。

 まずかったのか。


 スゥが、「約束を守らないとは」と言いながら、地上に降り立った。

 そして、「次に会ったときには」という言葉を残して走り去っていく。


 あの時と全く同じように……。




 眩暈がした。


 ゴーグルの中がたちまち真っ白になった。

 意識が遠のき、ンドペキはその場に崩れ落ちた。




 誰かの手が優しく両頬を包む。


 声がした。

「私を信じてって、書いておいたのに。こんなところまで来て」




 幻影を相手にしてはいけない、とは頭の隅では思いながらも、ユウ、と呟いたのだった。

 薄れゆく意識の中で。

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