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136/200

136 いずれ意のままに操られる命

 秘書官が来客を告げた。

「レイチェル長官がお見えになりました」

「お通しして」



 入ってきたレイチェルは、イコマ達が勢ぞろいなのを見て少し驚いたようだったが、アイーナに勧められたクッションに腰を落ち着けた。


「レイチェル長官。あなたに来ていただいたのは、二つ、お願いがあるから」

「ええ、何なりと」

「ありがとう。まずは、私の話を聞いておいて欲しいと思ったから。もう一つは、これ」

 と、アイーナが一冊のファイルを取り出した。

「見覚えのある人はいないかな、と思って」


 説明されなくともわかる。

 捕らえたステージフォーの構成員の中に地球人類はいないかどうか、そしてプリブはいないかどうか、というわけだ。

 彼らが洗脳されているなら、自ら名乗ることはない。



 レイチェルがファイルを開くのを待って、アイーナが再び話し出した。

「繰り返しになる部分があるけど、我慢してね」




 地球に帰りたい。

 これは私達全員の思い。



 アイーナはユウに目をやり、微笑んだ。



 そうされてきた。

 でも、実際は少し違うと思うの。

 なんていうのかな……。


 言葉を選んでいる。


 少なくとも、この船に乗り込んだ人は強くそう願っていた。

 でも中には、別の動機を持った人もいた。

 神とやらに後ろから支配されている社会に我慢がならない、という人……。



 アイーナは、自分もその一人、と言った。

 強い言葉で。


「意識が乗っ取られ、いずれ意のままに操られる命なんて……。許せない」




 キャンティは目を輝かせている。

 チョットマは当惑した顔を見せていた。


 イコマは、隣に座ったチョットマの手に自分の手を重ねた。

 ンドペキもアヤの手を取った。

 ユウは仄かに微笑んでいた。




「私は断言できます。あの白い霧、それがステージフォーが崇める神、あるいはその化身」


 改まった口調で、

「レイチェル長官、チョットマ、キェンティ、イコマさん、JP01……」と、順に名を呼んでいく。



「この船は、今や、そいつから逃れるための船なのです」



 このスミヨシの乗船資格が与えられたのは、地球に帰りたいという望郷の思いが特に強い人たち。

 それが最大の基準。と、聞いていた。


「ご想像通り、その中にあれに汚染された人はいませんでした。イコマさんの愛するJP01も、JP01の部下達も。そして私も、警察省長官イッジも、治安省長官ミタカライネンも軍のトゥルワドゥルーも。もちろん、船長キョー・マチボリーも」

「なるほど……」



「逆に言うと、パリサイドの星には、もう汚染されていない人は残っていません。基準値以下だった人は全員が乗り込んでいます」


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