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11 生暖かい怒り
これは……。
いつしか、樹脂製の舗装は硬い石に変わっていた。
ここは?
顔を上げた。
えっ。
ニューキーツ!
な!
身体に冷たいものが走った。
ここは!
俺の部屋の前ではないか!
慎重に辺りを見回した。
まぎれもないニューキーツの街並み……。
夜のとばりに沈んでいる陰気な街並み……。
霧が出ているのか、街灯の光はぼやけているが、懐かしい通り……。
くっ。
身体に走った冷たさは、たちまち生暖かい怒りに変わった。
新手のバーチャルに違いない。
ふざけやがって!
こんな遊びにはめやがって!
なんでも出てきやがれ!
イルカの少年でもなんでもいいぞ!
地面に吸い付くように足を動かさず、全身に力を漲らせた。
さあ、来い!
敵意のある仕掛けなのかどうか、そんなことはどうでもいい。
俺を弄べると思ったら、大間違いだ!
くっ。
来やがったな。
暗い街路を歩いて来る者の姿があった。




