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1 あいつら、何も言わないのよ!
「パパ! 大変!」
こんな風にチョットマが駆け込んでくるのは、これで三度目。
最初はサリがいなくなったといって。
二度目はセオジュンの姿が見えないと。
「そんなに慌てて」
「プリブが!」
と勢い込む横から、スミソが顔をのぞかせた。
チョットマはパリサイドの世界でよく見かける簡素な服装だが、スミソは武器を携帯している。
ここはパリサイド宇宙船団の母船。
狭い船室。イコマの部屋である。
パリサイドの身体を得て、下着の一枚さえ持たないイコマにとって、ベッドとテーブルと数脚のチェアさえあれば、事足りる。
顔を紅潮させたチョットマ。
「さあてと」
わざと悠長な声を出して、イコマは自分用の椅子に座った。
スミソは常に変わらぬ冷静沈着さで、いつものようにチョットマに付き従うように立っている。
「とんでもないのよ!」
「なにが?」
「逮捕されたのよ!」
「えっ」
「ひどすぎる!」
先刻、二人のパリサイドが現れ、プリブを連行していったという。
「ありえないでしょ!」
「理由は?」
「あいつら、何も言わないのよ!」
「うーむ」




