あの日の出来事
ある日、村の入り口に一人の男が倒れていた。
痛々しい傷があり、ある娘がその男を家に運んだ。
娘は必死に傷の手当てをした。
その男は目覚めると、こう言った。
「助けてくれたお礼に仕事を手伝う」
まだ痛いはずの体でくわを持ち、働いた。
男はたいそうな働き者でそして何より優しかった。
そして看病してくれた娘と恋をした。
娘は男のことを信じ、男も娘を愛した。
ある日、男の姿が見えなくなった。
村人たちは探し回ったが見つからない。
しかし、夜になると男が帰ってきた。
「どこ行って…ひっ!!!!」
月明かりに照らされた男の顔を見て悲鳴を上げる。
あの穏やかな表情だった男の顔が一変し、まるで悪魔のようにみにくくゆがんでいる。
そして村中で暴れまわり、何かを壊してはみにくくゆがんだ顔で不気味な笑みを浮かべた。
最後に恋人だった娘のそばに行くと手をとり
「一緒に来い。」
と言った。
娘はその手を振りほどき、
「あなたはこの村が…私が好きだった方ではない。出て行って下さい。」
と言い放った。
すると男は娘をつかんで村の入り口のほうに消えた。
村人たちは娘と男を探したが、娘と男はどこにもいなかった。