朝日
「…い、おい。大丈夫か?」
だ…れ…?
こういうことが前にもあった気がする…。
「おい!起きろ!」
声の主は私を軽く揺さぶる。
たしか、この声は…
「…レン?」
少しだけ目を開いて、目の前にいる人に驚きその名をよんだ。
「やっと起きたか…」
レンの顔に安堵の表情が浮かぶ。
「どうかしたの?」
不思議に思い私が尋ねると
「どうしたのってお前。めちゃくちゃうなされてたぞ?」
と心配そうに教えてくれた。
「ええっ?それ、本当?」
びっくりしすぎて、思わずレンを疑ってしまう。
「本当だぜ!俺の方がびっくりしたんだからな!」
怒ってるような言い方をしながら、その赤い瞳は優しい。
「うん。ごめん。でも…」
素直に謝った後、うなされるような夢を見たっけ?と首をひねった。
…夢…?夢なんて…見たっけ…
首をひねってる私にレンが声をかけた。
「…さっきゼルさんが来て、朝食の準備ができたから大広間に来いって言ってた」
「朝食?朝ごはんも食べてっていいの?」
あのおばあさんは許してくれたのだろうか。
「いいと思うぞ。これでも、俺たちは一応客だから」
「…そうだよね」
そうレンに返事をし、窓辺に歩み寄る。
シャッとカーテンをあけると、暖かい朝の光が差し込んだ。
気持ちいいな…
「なあ、そろそろ行かないか?」
朝日を浴びていると、おなかが減ったのか、控えめにレンが話しかけてくる。
「うん!」
元気よく頷き、私は、扉を開けてくれていたレンに礼を言って廊下に一歩足を踏み出したのだった。