起床―昼前
三題噺もどき―はっぴゃくごじゅういち。
外は程よく晴れ渡っている。
温かな日差しが降り注ぎ、春を告げている事だろう。
……風は強すぎるけれど。
「……」
ごうごうと言う音が聞こえるほどに、強風が吹いている。
春風と言うにはあまりにも強すぎるような、その風は、せっかく咲いた桜を、盛大に散らしている事だろう。撮りに行くタイミングがあってよかった。
「……」
その中でも、外からは子供たちのはしゃぐような声が聞こえる。
この辺りには、ご老人夫婦もいるが、それなりに子連れの家族もいる。
近くに小学校があるからというのもあるんだろうけど。
我が家は、家の真後ろと、道路を挟んだ向かいの家に小学生くらいの子供たちがいる。
「……」
それで、家の隣には所有者不明の空き地があるのだけど。
ここが、彼らにとっては小さな公園と化していて、よく遊んでいるのだ。
空き地と言ったが、草がぼうぼうに生えているし、中心に大きな木が生えているので、たいして遊べるような場所でもないと思うのだけど。
「……」
ただ、草が生い茂っているということは、それなりにそこに虫がいると言うことらしく。
そこでよく虫取り網を振り回している。何か取れるのだろうかと疑問に思うが、まぁ取れるから遊んでいるんだろう。
ボール遊びとかしなければ何でもいい。
「……」
が、少々朝早くからはしゃぎすぎじゃないだろうか。
今何時だろう……と、そう思いスマホを見る。
パッと、明るくなった画面に表示された時間は……昼前と言うところだった。
朝早くでもないか、私が寝すぎというか、寝ぼけすぎていたようだ。
「……」
昨日寝たのが遅かったから仕方あるまい。
昨日と言うか今日の朝早くに寝たのだ。
これでもまだ少し眠気の方が勝っている。
もう少し静かであれば、まだまだ二度寝でもできる。
「……、」
が、身体はそういうわけでもないようで。
くぅ―と、小さく腹が鳴った。
確かに良い時間ではあるが、起きて早々空腹を訴えるとは。
別段、食い意地をはっているつもりはないのだけど。むしろ、我が家では小食方で、母に食べろと言われるくらいだ。
「……」
しかし、空腹に襲われると、不思議なことに、つい先ほどまで会った睡魔が息をひそめるのだ。寝ようと思えば眠れるのだけど、そうまでして寝る事でもない。
それに、喉も乾いてきたし、起きて動くことにしよう。
「……」
そうと決めれば、さっさと動けるのは私の利点だと思う。
身体を起し、ベッドから立ち上がり、スマホを片手にリビングへと向かう。
テレビの音がするけど、誰かいるのだろうか。
「……」
まぁ、音がするのだから誰かいて当たり前なんだけど。
妹が、炬燵に入ってテレビを見ていた。
昨日チーズケーキを作っていた方だ。もう1人はきっと私と同じようにまだ眠っているか、部活に言っているかだろう。
「……」
お互い、挨拶というモノはしない。
家の中でおはようなんていってくるのは、母くらいだ。
それにだって、きちんと返すようなことはあまりしない。返してはいるけど、声が出ないのだ。
「……」
今日は、テレビはこの妹に独占されるらしい。
まぁ、私はスマホがあるからいいのだけど。
部屋で何か食べるとしようかな……。
「……」
一応、炬燵の上に、母が切っておいたのであろうオレンジが皿に置かれていたが、そんな気分でもない。し、妹がどうせ食べるだろう。
「……」
そう思い、冷蔵庫を開けたが。
生憎、何もない。
何もないと言うか、私が食べられるものがない、部屋で食べられそうなものが何もない。
こういう時に、自分の食欲のなさというか、変なこだわりと言うかが嫌になる。
「……」
まぁ、もう適当にお湯でも沸かして、とりあえずカフェオレを淹れることにしよう。
冷凍のパンが残っていたから、それを温めて、部屋に持っていけば……まぁ、いいか。
「……」
食事をこうして考えるのもいい加減面倒なので。
さっさと春休みが終わることを祈っている。
お題:春風・公園・オレンジ




