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三題噺もどき5

起床―昼前

作者: 狐彪
掲載日:2026/04/03

三題噺もどき―はっぴゃくごじゅういち。

 




 外は程よく晴れ渡っている。

 温かな日差しが降り注ぎ、春を告げている事だろう。

 ……風は強すぎるけれど。

「……」

 ごうごうと言う音が聞こえるほどに、強風が吹いている。

 春風と言うにはあまりにも強すぎるような、その風は、せっかく咲いた桜を、盛大に散らしている事だろう。撮りに行くタイミングがあってよかった。

「……」

 その中でも、外からは子供たちのはしゃぐような声が聞こえる。

 この辺りには、ご老人夫婦もいるが、それなりに子連れの家族もいる。

 近くに小学校があるからというのもあるんだろうけど。

 我が家は、家の真後ろと、道路を挟んだ向かいの家に小学生くらいの子供たちがいる。

「……」

 それで、家の隣には所有者不明の空き地があるのだけど。

 ここが、彼らにとっては小さな公園と化していて、よく遊んでいるのだ。

 空き地と言ったが、草がぼうぼうに生えているし、中心に大きな木が生えているので、たいして遊べるような場所でもないと思うのだけど。

「……」

 ただ、草が生い茂っているということは、それなりにそこに虫がいると言うことらしく。

 そこでよく虫取り網を振り回している。何か取れるのだろうかと疑問に思うが、まぁ取れるから遊んでいるんだろう。

 ボール遊びとかしなければ何でもいい。

「……」

 が、少々朝早くからはしゃぎすぎじゃないだろうか。

 今何時だろう……と、そう思いスマホを見る。

 パッと、明るくなった画面に表示された時間は……昼前と言うところだった。

 朝早くでもないか、私が寝すぎというか、寝ぼけすぎていたようだ。

「……」

 昨日寝たのが遅かったから仕方あるまい。

 昨日と言うか今日の朝早くに寝たのだ。

 これでもまだ少し眠気の方が勝っている。

 もう少し静かであれば、まだまだ二度寝でもできる。

「……、」

 が、身体はそういうわけでもないようで。

 くぅ―と、小さく腹が鳴った。

 確かに良い時間ではあるが、起きて早々空腹を訴えるとは。

 別段、食い意地をはっているつもりはないのだけど。むしろ、我が家では小食方で、母に食べろと言われるくらいだ。

「……」

 しかし、空腹に襲われると、不思議なことに、つい先ほどまで会った睡魔が息をひそめるのだ。寝ようと思えば眠れるのだけど、そうまでして寝る事でもない。

 それに、喉も乾いてきたし、起きて動くことにしよう。

「……」

 そうと決めれば、さっさと動けるのは私の利点だと思う。

 身体を起し、ベッドから立ち上がり、スマホを片手にリビングへと向かう。

 テレビの音がするけど、誰かいるのだろうか。

「……」

 まぁ、音がするのだから誰かいて当たり前なんだけど。

 妹が、炬燵に入ってテレビを見ていた。

 昨日チーズケーキを作っていた方だ。もう1人はきっと私と同じようにまだ眠っているか、部活に言っているかだろう。

「……」

 お互い、挨拶というモノはしない。

 家の中でおはようなんていってくるのは、母くらいだ。

 それにだって、きちんと返すようなことはあまりしない。返してはいるけど、声が出ないのだ。

「……」

 今日は、テレビはこの妹に独占されるらしい。

 まぁ、私はスマホがあるからいいのだけど。

 部屋で何か食べるとしようかな……。

「……」

 一応、炬燵の上に、母が切っておいたのであろうオレンジが皿に置かれていたが、そんな気分でもない。し、妹がどうせ食べるだろう。

「……」

 そう思い、冷蔵庫を開けたが。

 生憎、何もない。

 何もないと言うか、私が食べられるものがない、部屋で食べられそうなものが何もない。

 こういう時に、自分の食欲のなさというか、変なこだわりと言うかが嫌になる。

「……」

 まぁ、もう適当にお湯でも沸かして、とりあえずカフェオレを淹れることにしよう。

 冷凍のパンが残っていたから、それを温めて、部屋に持っていけば……まぁ、いいか。

「……」

 食事をこうして考えるのもいい加減面倒なので。

 さっさと春休みが終わることを祈っている。











 お題:春風・公園・オレンジ

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