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大好きなきみへ

作者: 空詩
掲載日:2026/01/24

祖母が残した占いの本に栞が挟まっていた。

そこには祖母の字で「大切な人には、ちゃんと言葉で伝えなさい」と書いてあった。


幼なじみの葵のことをいつから好きになったのか分からない。

同じ保育園、同じ小学校、同じ中学。

いつも隣にいた彼女。

高校で別々になり、大学でまた再会した。


「今日の恋愛運、最高だよ」

占いアプリを見せながら葵は笑う。

カフェで久しぶりに会った彼女は、昔と変わらない笑顔だった。


「占い、信じるの?」

「うーん、少しだけ。背中を押してもらえる気がして」

「そっか…」


それから毎週末、二人で会うようになった。

映画、美術館、商店街の散歩。

日々、思い出が増えていった。


ある日、葵が突然言った。

「来月、転勤で大阪に行くことになったの」


心臓が凍りついた。伝えなきゃ。今、伝えなきゃ。


「私たち、また会えるかな」


祖母の言葉が頭をよぎる。

「ちゃんと言葉で伝えなさい」


僕は深呼吸をした。


「葵」

「ずっと言えなかったんだけど、俺、葵のことが好きだ。幼なじみとしてじゃなくて一人の女性として」


葵は驚いていた。

「実は私もだよ」

「ずっと待ってたの。あなたから言ってくれるの」


「言うの遅くなってごめん」

「遠距離だね…」


「でも遠距離だけど大丈夫。だって私たち、ずっと一緒だから」


今日は祖母に背中を押してもらった気がした。

大切な人には、ちゃんと言葉で伝えよう。

「大好き」と。


窓の外、夕日が二人を優しく照らしていた。

読んでいただきありがとうございます。

他にも短編を投稿しています。

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