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夢
毎晩、同じ夢を見る。
雨が降っている。あたりは暗く、街の灯りさえ遠い。
風がかすかに吹いて、頬から雨の雫が滴り落ちる。
目の前には川。水面に映る鈍い光。
冷たい鉄の柵に手をかけた瞬間、肩を叩かれた。
振り向くと、そこには女の子が立っていた。
顔は影に覆われ、表情は見えない。
でも、どこかで会ったことがあるような気がする。
彼女が口を開き、何かを言おうとした、その瞬間――
目が覚める。
目を開けると、見慣れた天井が広がっている
夢だと分かっていても、たしかに五感を感じた
まるで、あの川辺が本当に存在しているかのように。
ベッドから起き上がり、窓の外を見た。
雲ひとつない快晴。雨は降りそうにもない。
けれど頬にはまだ、冷たい雫の感触が残っている気がした。
「……また、同じ夢」
時計を見ると、いつもより早く目が覚めていた。
ベットから体を起こし、制服に袖を通しながらポツリとつぶやいた。
「とても鮮明な夢だったな。」