一話「バラガシャ」
日が沈む頃、腹に釘を刺す。
日が昇る頃、痛みを感じ始める。
日が何よりも高く昇った頃、
彼は痛みを忘れる。
ハァッ…ハァッ~…ハァッ!
カンッ カンッ カンッ
日の暮れ、何かがぶつかり合う音が鳴り響く。
ハァッ…ハァッ~…ハァッ!
何者かが腹に釘を打ち付けているのだ。
ハァッ…ハァッ~…ハァッ!
カンッ カンッ カンッ
もし誰かが目撃すればたちまち這ってでも逃げ出すであろうその異様な光景は、我々生者には基本縁の無い物だ。
何故ならこの男は妖怪「バラガシャ」であるからだ。
…
ハァッ…ハァッ…
ハァッ…ハァッ…
今日も夜が来た、釘を打ち付けた。
日が昇る頃には、痛みが出る筈だ。
もし痛みを感じたとしても正午には収まるだろうが…
やらない事こそ己の馬鹿を肯定する事となる。
「…ハッ 贖罪となるかならないかを決めるのは俺では無い…か」
そんな事は分かっている。
分かっているが、これしか思いつかないのだ。
すまない、息子よ。
━バラガシャは重い腰を上げ、生死の狭間を彷徨い始めた。
はじめまして、ピテクスです。
設定は色々考えてあるのですが、この後はきっとライブ感で書くことになります。
不定期投稿です。




