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真夏のキミと花火を見たかった【清水静美 編】

僕は高校2年の危川彩。

去年は何もなく1年が過ぎ去ってしまった。

今年こそは終業式の次の日に開催される

花火祭りに女の子と一緒に行きたい。

そして最高の夏休みにしたい。


少し前僕のクラスでは席替えがあった。

僕の隣は「清水静美」という不登校の女子。

完全に不登校ってわけじゃないんだけど

学校に来ない日の方が圧倒的に多い子だ。

席替え当日も清水さんは学校に来なかった。

いや、もう4日は来ていないよな。

僕は改めて清水さんのことが心配になった。


「よぉ、危川!」

「ん?あぁなんだお前か。」

話しかけに来たのは俺と保育園からの親友

「田島和義」だった。

「隣の席、まさか清水さんになるとはなぁ。」

「そうだな、これじゃ隣が常にいないからな。」

「苦労するねぇ、ペアでの学習のときとか。」

「うん、だけど、こればかりは仕方ないさ。」

「そうか、まぁ、清水さんが学校に来たときは優しく迎えてやれよ?いいか危川?」

「うん、わかったよ田島。」

「よし、じゃあ俺はジュースでも買ってくるわ。」

「おう、またな。」

こうして田島はジュースを買いに行った。

この日は席替えしたこともあり1日新鮮だった。

だけど、隣の席の子がいないってなんかこんなにも寂しい気持ちなのか、と思った。

 

翌日。

「おはよー。って、あれ?!」

今日は隣の席に清水さんの姿があった。

清水さんが5日ぶりに学校に来ている。

相変わらず教室全体を苦手そうな目で見ている。

なんて声をかけたらいいだろうか。

しかも昨日席替えがあったからな。

突然のことすぎて、清水さんパニックだろうな。

とりあえず席に着かなくちゃな。

勇気振り絞って、清水さんに声をかけてみるか。

「あ、あの…」

「…。」

「お、おはよう。ひ、久しぶりだね。」

「…。」

「あ、ははは…」

やはり清水さんは人との関わりが苦手なんだろう。

もう無理に話しかけない方がいいよな。

「あの…」

「え?!」

「私の席、ここでしたっけ?」

「…!?」

清水さんがしゃ、しゃべった?!

清水さんの声を聞いたのも久しぶりだった。

「あぁ、昨日席替えがあったんだよ。」

「席替え…。」

「そうそう、席替えがあったの。」

「わかりました…。どうも…。」

「あ、あぁ…。」

そう言うと清水さんはカバンの中から本を取り出し、黙々と読み始めた。

うーん、席替えにはあまり関心がなさそうだな。

それにしても僕のこと、わかるのか?

同じクラスとはいえ、話したことは数回だし。

自己紹介するべきか、、どうしようか、、。

いや、やめておいた方が良さそうだな。

だって最低限の会話をした後にすぐ読書しちゃうんだもんな。

本当に人との関わりが苦手なんだろうな。


その日の午後、英語の授業にて。

「はいではこの道を尋ねる例文を隣の人同士でやってみてください!」

つ、ついに来てしまったかペア活動。

清水さんは先生の話を聞いているのかわからないくらい、下を向いている。

やっぱり清水さんからしたら、こういう

授業の雰囲気とかすらも苦手なんだろうな。

けど、一応先生の指示通りにはしないとだし。

聞くだけ、聞いてみるとするか。

「やあ清水さん、この例文、どうする?やる?」

「…。」

「はは、嫌だよね、ごめんね。」

「す、すいません…。」

「はは、いいよ、大丈夫。」

「…。」

清水さんは再び下を向いて黙りこんだ。

やっぱり苦手なんだろうな。

まぁ、清水さんはそっとしといてやるか。

…。

こうして英語の授業が終わった。

この日はもう清水さんと話すことはなかった。


翌日、清水さんはまた学校に来なかった。

「よお、危川!」

「おぉ、田島か。どうした?」

「いや、昨日清水さん学校来てただろ?」

「あぁ、うん、来ていたね。」

「それでそれで、何か話したのか?」

「いや、特には何も話せなかったけど。」

「そうか、本当にあの子は謎だよな。俺もまともに話したことないからなぁ。」

「そうだね、まぁ学校が苦手なら仕方ないよ。」

「そうだよなぁ。こっちから無理に話しかけるのも何か違うだろうしな。」

「違うね、まぁ田島、清水さんはそっとしておいてやろうぜ。」

「そうだな。じゃ俺は下のロッカーに教科書取ってくるわ!」

「おう、またな。」

清水さん、、。確かに謎だよな。

どんな家庭環境なのか、何が不登校の原因か。

その前に清水さんはどんな性格か。

昨日も最低限しか話してないからな。

清水さんのことを、ほぼ何も知らない。

…。

せっかく隣になったんだし、少しくらい

清水さんと仲良くなれるチャンスかもな。

よし、次学校に来たときにもっと話してみるか。


それから3日後、清水さんは学校に来た。

おっ!清水さんが学校に来ているじゃないか。

これは話せるチャンスだよな…。よし。

「おはよう、清水さん!」

「…。」

「新しい席はそろそろ慣れたかな?」

「…。」

うーん、やはり応答はなしか。

なら少し明るい言葉でもかけてやるか。

「何かあったらすぐに話してね!僕、清水さんともっと仲良くなりたいからさ。」

「…!?」

「それじゃね。」

よし、少し僕の気持ちを伝えられたかな。

さて、僕も下のロッカーに教科書を取りに行くか。

…。

(私と、仲良くなりたい?ですって…?嘘でしょ…?こんな私と仲良くなりたいだなんて…。)


その日の昼休み。

いやぁ、やっぱり食堂前の自販機は混むな。

この校舎裏付近にある自販機はいつも

人もいなくて空いていて良いな。

さて、ジュースも買えたことだし飲むかな。

「あの…。」

「え?」

振り向くと、そこには清水さんがいた。

「あ、し、清水さん。」

「あの…その…。」

「うん、どうしたのかな?」

「私の…隣の席の人ですよね?」

「あぁ、そうだよ!隣だよ。」

「あの…名前…なんて言うんですか…?」

「名前?あぁ。危川彩っていうんだ。」

「危川くん…ね。」

「うん、よろしく!」

「私、清水静美…。」

「あ、下の名前、静美っていうんだね!」

「あ…はい…。」

「前から読み方気になってたんだ!ありがとね。」

「えぇ…?!そ、そう…ですか。」

「うん!そうだよ!」

「あ…わかりました…では私はこれで。」

「あ…うん、また。」

清水さんは小走りで去っていった。

清水さんがまさかのあっちから会話を…。

珍しい、どころの話じゃないけどな…。

まぁいいや、とにかくジュースを飲むか。

だがその日もそれ以上会話をすることはなかった。


翌日、清水さんはまさかの連続で学校に来ていた。

し、清水さんが2日連続で学校に…珍しい。

「おはよう、清水さん。」

「あ…おはよう…危川くん。」

返してくれた!しかも苗字も呼んでくれた!

「今日も1日学校頑張ろうね。」

「はい…。頑張ります…!」 

朝から珍しく清水さんと会話をすることができた。


その日の2時間目終わりの休み時間。

2時間目は体育だった。

「いやぁ、やっぱり長距離走は疲れるよな。」

「そうだね、田島。」

「だよなぁ、じゃ俺体育館前の自販機で飲み物買うから先いくわ。」

「おう、それじゃな。」

夏が近づいてる中の長距離走はとても疲れる。

次は社会、少し急ぎ目で教室に戻ろうとした時。

ある光景が僕の目に飛び込んできた。

同じクラスの女子2人が体育館裏でなにやら話をしている。

何を話しているんだ?

僕は興味本位で隠れて聞くことにした。

「ねぇ、あの清水ってやつのタイム見た?」

「見た見た、最下位でしょ?」

「最下位!ウケるよねぇ!」

「清水は運動苦手だからとか言ってるけど、普段から学校の体育とかに出席しておけば体力くらいはつくのにね!」

「それな!不登校だからあんなに遅いのよ!」

「あははははは!!!」

し、清水の悪口を言って盛り上がっている…。

こんなの本人が聞いていたら、傷つくどころの話じゃないよな。

すると、校舎裏方面に走っていくひとりの

女子の姿が僕の目に飛び込んできた。

あの後ろ姿は…まさか!?

僕はその後ろ姿を無我夢中に追いかけた。


はぁ、はぁ、はぁ。

その走っていった女子は校舎裏の自販機の前で止まった。

そして、ちらっとその女子の横顔が見えた。

間違いない、あの顔は清水さんだ。

きっとあの悪口を全て聞いていたに違いない。

「うっ…うっ、うぅ…。」

「え?」

清水さんは、泣き出してしまった。

おそらくまだ僕の姿には気づいていない。

なんて声をかけようか…。

「もうなんで私の人生上手くいかないのよ!」

…え?

「家庭環境もめちゃくちゃだし!妹は失うし!学校ではいじめられるし!」

清水さんは涙を流しながら叫んでいた。

「私もうこんな人生いやよ!!」

…。

僕はただ聞いていることしかできなかった。

「飛び降りてやるんだから!!」

…!?飛び降り?!

「清水さんっ!待って!それだけはっ!」

「え…?!」

「あっ…。」

僕は気がついたら叫んでいた。

「あ、危川くん、き、聞いていたの…?」

「ごめん、ちょっと心配で後を追いかけていたら、急に叫びだすから…。」

「そ、そうなんだ…。」

ふたりの間にしばらく沈黙が流れた。

「あのさ、清水さん…。」

「な、何?危川くん…。」

「僕からちょっと言いたいことがあるんだけど、いいかな?」

「え…?いいけど…。」

「ありがとう…。」

清水さんの飛び降りを止めるのは俺しかいないよな…!

「あのさ!まず1回思いとどまってほしいんだ!僕は今年から一緒のクラスになったばかりだし、清水さんの家庭環境とか、妹のこととか、正直全くわからないよ?けどね!清水さん学校来れない日多いでしょ?だからね、きっと辛い思いを学校に来れなくなるまで抱えてるんだなって、僕なんとなくわかるんだ!あと、学校に来たくない理由に、いじめって言ってたよね?いじめられているなら僕に言ってほしい、清水さんのことをさっきものすごく悪く言っていた人いたけどさ、学校には味方もいるんだよってことを僕が証明してあげたいんだ!だから、ひとりで抱え込まないでほしい。せっかく席も隣になったんだしさ、辛い時僕になんでも言っていいから!だから1回思いとどまって…!」

…。

「僕の言いたいことは、こんな感じだよ…。」

「…。あ、あや、危川くん…。」

がばっ!

「…!?」

「危川くん…ありがとう…。」

清水さんが涙を流しながら僕に抱きついてきた。

ぎゅっ。

僕も無意識のうちに清水さんを抱きしめていた。


清水さんがやっと僕に少し心を開いてくれた

そんな1日だった。


翌日も清水さんは学校に来ていた。

「おはよう清水さん!」

「あら、おはよう危川くん。」

僕たちはすっかり会話するほどの仲になっていた。

「ねぇ、危川くん。」

「どうしたの?清水さん。」

「今日のお昼って時間あるかしら…?」

「今日のお昼?まぁ暇だけど。」

「じゃあ、私と一緒にお昼食べませんか?」

「清水さんとお昼っ?!」

「あら、嫌かしら…?」

「いやいや!全然…!」

まさか、あんな不登校だった清水さんから

お昼のお誘いだなんて、驚いたよ。

「そう、じゃあお昼、広場でいいかしら?」

「広場?食堂じゃないの?」

「ちょっとね、広場がいいの。」

「わかったよ。じゃあお昼に広場でね。」

「うん、ありがとう。」

こうして僕は清水さんとお昼の約束をした。

本来なら食堂のはずなんだけどなぁ。

まぁいいか、お昼になったら広場に行こう。


そしてあれからお昼になり

僕は清水さんと約束した広場に行った。

清水さんはもう広場にいた。

「やあ、お待たせ清水さん!」

「あら危川くん、ありがとう来てくれて!」

「うわ!これどうしたの?!」

そこにはおかずが贅沢なお弁当があった。

「あ、これね、全部私の手作りなの。危川くんに食べてもらいたくてね。」

「本当に?!それは嬉しいよ!ありがとう!」

「じゃあさっそく食べましょうか。」

「うん!そうだね!いただきます!」

パクッ。

「うん…!?これは美味しいっ!美味しすぎるよ!」

「あら、本当に?ありがとう!」

「清水さん料理上手いね!将来の旦那さんが羨ましいや!」

「そ、そんな褒めても何も出ませんよ!」

「ははは!わかってるって!」

…。

「それでね、危川くん。」

「ん?どうしたの清水さん?」

「今回食堂じゃなくて広場に呼び出した理由はね。話したいことがあるの。」

「話したいこと…?」

「そう、話したいこと。聞いてくれるかな?」

「もちろん、僕でよければ聞くよ!」

「ありがとう…。あのね。もう私の全てを話そうと思うの。私は生まれて小学校1年生の頃から友達もなかなかできなくて、すぐいじめの対象になったの。すっごいひどいいじめでさ。もう女子相手に暴力とか。信じられないよね。そんないじめが積み重なったから私はもう小学2年生の頃から不登校だった。そして私には生きていれば中学校2年生の妹がいるの。生きていればね…。私が中学校1年生の頃、妹は自ら人生を終わらせた。原因はいじめだった。姉妹同じくいじめられていたの。私が助けてやればよかった。小学5年生であの子はこの世を去ったの。いつもお姉ちゃんって甘えてきて、妹を救ってやれなかったのは本当に後悔してるわ。それでね、私本当は高校行かないつもりだったの。だって行ってまたいじめられたら嫌じゃない。だけど行くって決めたの。妹の分まで、私、頑張るって決めたの。だけど私は不登校になっちゃったけどね。あと家庭環境もざっと話しておくけど、私の最初のお父さんは私が小学4年生の頃に離婚して、今は新しい別のお父さんがいる。そのお父さんともうまくいってなくてね。って感じかな。妹は失うし、家庭環境は複雑だし、こんな私に味方なんていないよね。ごめんね!危川くんに愚痴っても、なにも変わらないよね。」

「変わるよ。」

「えっ…?」

「清水さん、辛かったね。妹さんを失ったり、家庭環境が複雑だったり、僕にもその気持ちが痛いほどわかるよ。ただ、これだけは覚えてほしい。僕は清水さんの味方だよ。」

「…。」

「最近話せてすごく嬉しかったんだ。だからこう、清水さんを守りたいって心から思ったんだ。」

「…。」

「だから、安心して、僕は清水さんの味方だから。」

「…あ、あ、あや、…危川くんっ!」

「!?」

清水さんは涙をこぼしながら僕に抱きついてきた。

「危川くん…ありがとう…本当に…。」

「ううん、大丈夫だよ。」

「ねぇ…危川くん…」

「どしたの?」

「味方の証に…キスして…」

「!?」

「早く…いいから…」

「いや、そんなこと急に言われても…」

「いいから…!お願い…!」

清水さんは僕に唇を差し出した。

「わ、わかったよ…。」

チュッ。

僕はついに清水さんと唇を重ねあった。

その時間はとても長く感じた。

「これで、味方ってことでいいわね…。」

「うん…。」

キーンコーンカーンコーン

「あ、お昼休み終わっちゃうね。お弁当ありがとう!美味しかったよ!」

「うん…こちらこそ、愚痴聞いてくれてありがとう…。」

こうして清水さんとお昼を食べた。

清水さんの唇…暖かったな。


あれから僕と清水さんは「友達」になった。

一緒に登校して、隣の席だから

たくさん会話もするようになったし。

一緒に帰るようにもなった。

ただ、まだ何か足りないような気もする。

僕は今年の夏こそ、女の子と過ごしたい。

終業式の次の日にある花火デート…。

そんなことを考えながら毎日過ごしていたら

いよいよ明日は終業式…。

今年の夏こそ女の子と過ごすなら…。

誘うしかないよな!

よし!頑張るぞ俺!


【翌日】

「えー、終業式が終わって明日から夏休みになります、そして明日、夏休み初日にはこの街の夏祭りがありますが、しっかり課題をやって規則正しい生活をするように!いいね?先生からは以上です。」

キーンコーンカーンコーン。

終業式も終わりついに放課後。

清水さんは教室に…いる!今しかないっ!

「ね、ねぇ清水さん!」

「あ!危川くんお疲れ様!いよいよ明日から夏休みだね!」

「そうだね、ねぇ清水さん!」

「ん?何?」

「明日の夏祭りって、来る?」

「それがね、毎年一緒に行く人がいないからもう長らく行ってなくてさ。せっかく浴衣もかったのに、どうせ今年もひとりだから行かないわ。」

「な、ならさ!明日一緒に行かない?!」

「えっ!?」

「清水さんと1学期で仲良くなれたんだしさ!どうかな?一緒に?嫌ならいいんだ。」

「嫌じゃない…。」

「え?」

「もちろん!危川くん!一緒に行こう!」

「え?!あ、うん!そうだね!一緒に行こうか!」

「うんうん!久しぶりの夏祭りで少し緊張するけど、そしてまさか男女でなんて、より緊張するけど、明日ね。一緒に行こうね!」

「うん!もちろん一緒に行こう!」

やった!清水さんと夏祭りが確定した!

「それじゃあ清水さん、明日18時に現地集合でどうかな?」

「うん、それでいいわ!じゃあ明日ね!」

「うん!わかった!それじゃあ!」

やった!今年の夏こそ僕は…。

女の子と一緒に過ごせるぞーっ!


【翌日、夏祭り当日】

いやぁ緊張して少ししか眠れなかったな。

とりあえず18時になったけど清水さんは…。

「お待たせ危川くん!」

「あ、清水さん…!って…」

!?清水さんが浴衣を着ているっ!

清水さんの浴衣姿…い、いいな…!

「危川くん?大丈夫?」

「あ、あぁ!清水さん!来てくれてありがとう!」

「約束だからね!じゃあさっそく屋台を見てまわりましょうか!」

「うん!そうだね!」

…。

「ねぇ、危川くん!私あの小さいポーチが欲しいな!」

「えっ?あれかぁ、僕射的は不得意なんだけどなぁ。」

「そんなこと言わずにまずはやってみてよ!」

「わかったよ!だったら絶対取ってやる!」

パァン!

「お見事ー!ポーチ獲得ですよお客さん!」

「わぁ!危川くんありがとう!」

「ははは、いいえ!はい清水さんこれポーチ。」

「やった!私の宝物にするわね!」

「うん!よかった!」

「ねぇ、危川くん。そろそろお腹すかない?」

「そうだね、食べ物のやたい見てみようか!」

「そうしましょ!」

…。

「うーん!この唐揚げジューシーだわね!」

「本当だね!熱くて美味しいよ!」

「ねぇ危川くん!この焼きそばもおいしいわね!」

「そうだね!ソースが濃いなぁ!」

「そしてやっぱ夏祭りといえばかき氷よね!私はメロンにした!危川くんは?」

「僕はいちごだよ!」

「あ、じゃあ食べ比べしようよ!

「そうだね!そうしよっか!」

…。

「あー、いろんな屋台巡れて私、幸せ。久々に一緒に来る人がいてよかったわ。」

「僕も清水さんと夏を過ごせて幸せだよ。」

「そっかぁ…。ありがとう。」

「…。

「…。」

「ねぇ、危川くん。」

「どうしたんだい?清水さん?」

「私の思い、伝えていいかな…?」

「うん…!」

「私、危川くんのことが好きだわ。」

「…!」

「優しくて、守ってくれて、頼りがいがある。そんな危川くんが好きだわ。」

「僕も…清水さんのことが好きだよ…!」

「…危川くん。」

「優しくて、勇気があって、そして、今とっても浴衣が似合ってて、僕に幸せをくれる清水さんが好きだ!」

「危川くん…。ありがとう。なんだか、涙が…。本当に今まで私はひとりだった。だからこそ危川くんみたいに、ずっとそばにいてくれる人がいるの、私初めてで。嬉しかった。幸せだった…。だから、もうどこにも行かないで…ずっと私の…そばにいて。」

「うん…もちろん!約束する…!」

「じ、じゃあ約束の証に…。」

「う、うん…!」

チュッ。

ヒュ〜〜〜ッ…パ〜〜〜ン!

キスと同時に花火が上がり始めた。

僕は清水さんとこの日

「友達」から「恋人」になっていた。

花火が僕たちの恋の始まりの合図になった。


あれから月日が流れ夏休みも終わり

私は危川くんの彼女になりました。

夏休み中デートしたりもしました。

夏祭り以上に今は距離が近づいています。

そして私は不登校じゃ完全になくなりました。

これからは学校に必ず行く意味がある。

必ず行って会うべき人がいるから。

私を大きく変えてくれた危川くん…。

これからもっと幸せにしてあげるんだから!


-END-

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