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【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常  作者: ニキニキちょす
国内無双編

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 木村さん:どれくらいが最低稼げる予定なんです?  伊崎:え?800億

 エピソードタイトルが長かったらこちらを見てください(笑)


 木村さん:どれくらいが最低稼げる予定なんです?

 伊崎:え?800億

ーーーー





 それから10月に入ったある日。


 リビングでコーヒー片手に株を見ながら、石田の電話が終わるのを俺は待っていた。


 あ、そうそう。

 まぁ未来がある程度分かっていれば当たり前だが、ビットコインは勿論買っておいた。


 分かりやすく無双出来そうなのはコレだしな。

 あとは、情報商材でも会長共に売りつけるとか、色々思いつくことはいっぱい。


 だけどなぁ。

 別に株なんてやらんくても問題はなさそうな財政状況になりつつあるんだよなぁ。

 

 「はい。そうなんですよー。この時期だって言うのは重々分かってはいるんですけれど⋯⋯はい。はい。申し訳ありません」


 ピッと電話が終わってこちらを見る。


 「終わりました。一週間程旅行に行くってことで話がまとまりましたよ」

 

 「ご苦労石田くん、君にはブランドバッグを一つ授けよう」


 「やったー!」


 俺と石田はすっかりこのノリで過ごす事が多くなった。


 そんな事は今いいか。


 「大将、一週間も休んでどうするんだ?」


 「ちょっと本格的にやる事をやらないとって感じ?」


 「なんですか?その要領を得ない感じですけど」


 んー。なんて言えばいいんだ?


 これから稼ぐ為の実験兼、白波への贈り物兼土下座する事になりそうな案件を作りに行くところってめっちゃ言いたい。


 めっちゃ兼兼兼してるわ。


 「一言で言えばむっちゃ、金を稼ぐための瞬間種まき?」


 「つまり金を稼ぐ為の人脈づくりって事か?」


 「それは自給自足」


 「本当に凄いな」

 「凄いっすね」


 「なんでそんな褒めだすのよ」


 「いや、伊崎さん。シンプルにですよ?15歳やそこいらで、秘密基地があって、警護出来るほどにお金持ちって日本だとまずいないですよ?一般家庭で」


 「まぁそうか。でも、多分お前ら日本で指折りの金持ちになるぞ?多分」


 そう言ってやると、2人は顔を見合わせて首を傾げる。


 なぜそんな顔をしだすんだ?二人は。


 「っと、とりあえず⋯⋯今日は側にいるよりも主に送迎だけで頼む。警護は周辺のみで。中は俺と相手のみだから」


 「了解っす!」

 「分かった」


 




 「あ、どうもお疲れ様です、木村さん」


 「あぁー伊崎さん、お久しぶりですね」


 木村さんと待ち合わせたのは、白波の子会社予定区域のところ。


 まぁ、事実上俺の会社であり、城。


 さすがに子会社では場所が選べないというのもあるし、ここからは──ある意味これからどれだけ信頼出来るかに掛かっている。


 「まだ完成してないですね」

 

 「工事は高速で回していますので8割ほど完了していますね。先月、アポをわざわざ取ったのでどんな重要な要件かと思っていたのですが」


 と、近くにある木村さんのリュックと今回の目玉。


 「こちら⋯⋯ですよね?」


 「ええ。間違いありません」


 木村さんの手には、大きいバケツに入った2匹のサバの稚魚。


 「業者に近くまでケアをしてもらっていますが、出来れば早く用件を仰って頂ければ助かります。


 サバはかなり複雑な生き物ですから」


 まぁ、別に何でも良かったが、どうせなら謳い文句のある魚の方がいいだろうと思って用意させた。


 「ええ。分かっています。ただ────」


 「どうされました?」


 「一つ尋ねても?」


 無言で頷く木村さん。


 「今のポストとプラス、子会社の運営を木村さんに基本任せたいと正直考えています」


 「⋯⋯おぉ。これはまた面白い事を」


 俺は師に似て面倒くさがりだ。

 必要ないことまでやりたくない。


 惰眠を貪るのが俺流だ。

 ⋯⋯あれ?今、面倒な事ばかりやってない?

 あっ。それ以上はいけない。


 「というと、ここでの話は会長にも通したくないということでしょうか?」


 さすがだな。

 意図を一発で理解した。


 「はい。まぁ全部決まってからは構いませんが、木村さん以外に任せるつもりが正直ないんですよ」


 「会長ならばかなりの配慮を利かせてくれると思いますが⋯⋯」


 納得出来なさそうに、不思議がりながら俺を見る。


 木村さん。

 この人はポストにいる割に能力値が高い。


 性格的にも、恐らく前を歩くよりも右腕や誰かを支えるような位置が最も力を発揮するような人間だと思う。


 だからこそ輝ける所にいれば自ずと内に秘めたモノを出してくれるに違いない。


 それに、会長はもう金も時間もあるんだからこれ以上与えても仕方ないだろう。


 こうして地球に帰ってきたんだ。

 後半の錬金術生のように、誰かに与える事をしていかないとな。


 いつまでも独占していては、俺が楽できなねぇし。

 

 ──俺という円の内にいれば、相応の利益を与えるのが俺流だ。


 「元はと言えば、この子会社も、俺からの配慮に近いですからね」


 「情報だけでもとんでもないメリットでしたが⋯⋯」


 「そうなんですよ。最初にお会いした時に言ったように、別に相手は誰でも良かったんです。


 何処に居ても間違いなくテッペン獲れるんでね」


 「それはそうですね。今となっては誰よりも理解していますよ伊崎さん」


 と、俺はバケツを置かせて。


 「さて、では答えを聞かせてください」


 「もう──分かっていますでしょう?

 今よりも楽しくなりそうですから。会長にも掛け合ってしっかり業務に取り掛かります」


 なんて暖かい笑顔なんだろう。

 大樹くんとは大違いだな。


 「では、悪魔との取引成立ということで」


 「伊崎さん──それは少し違います」


 ネクタイを整え、襟を正す。

 皺を伸ばし⋯⋯木村さんは至って真顔で言い放つ。


 「私にとっては天使です。いや神かもしれません。

 ──お間違いなきように」


 ⋯⋯ふっ、言うねぇ。木村さん。

 利益はもっとやるから安心しろや。

 

 「では──」


 木村さんと握手を交わし。


 「ここからは他言無用で行きます」


 「というと?」


 しゃがみ。

 俺はバケツの中に手を半分ほどまで突っ込む。


 「伊崎さん、サバはかなり複雑です」


 「大丈夫です」


 波紋が広がるように。

 手から魔力が水に浸透していく。


 "水質変化(ディセン)"


 「ふぅ⋯⋯結構盗られたな」


 俺がエリクサーを使った理由でもある世界で俺しか出来ない専売特許。


 師匠も知らない水の魔法であり、極致。

 死した後に完成した俺を最強たらしめた技。


 万物を弄り、水質を強制的に変える。

 

 隣で顎が外れそうな木村さんは正しい。

 今回は魔力を使って水質だけではなく、"進化"させたから。


 「いっ、い、伊崎さんっ!? へぇっ!?」


 誰?と言いたくなってしまうほど素っ頓狂な裏返った声を発する木村さん。


 そんな木村さんに少々ニヤけながら肩に手を置く。


 「だから言ったじゃないですか。会長に言えるわけがないって」


 そうだ。

 俺がエリクサー風呂に入れた理由であり。

 水さえあればどんな秘薬も作製できる。


 魂を売ってでも俺に頭を垂れ。

 皆が信仰し、皆が毎年貢物を持ってくるようになった根源。


 "万物の王"


 そう、これが⋯⋯後に俺が神と名付けられた真の理由である。

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