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【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常  作者: ニキニキちょす
世界征服編

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 それからというもの。

 死体を解析したのだが、やはり自分の魔法のせいで解析困難な状態になっていた。


 現状の奴等の実力が知りたかったがために、並以上の威力まで引き上げたがあの様子。 


 恐らくまだ上があったはずだ。


 「もう少し引き出せるかと思ったんだがな」


 そんな今はお昼。

 現在は秘密基地メインでいるわけではなく、実家で過ごしている。


 というのも、念には念を入れる為だ。


 俺のせいでアイツらが危険な目に遭うわけには行かない。


 最初の方は向こうにいたが、段々と昔にはなかったような感覚が彷彿と湧いてくる。


 "失うという恐れ"──。


 俺には今、いっぱいある。

 正直なところ、俺の持論は昔から変わらない。


 最もシンプルで、最もつまらん答え。


 "無駄を削ぎ落としたやつが最も強いということ"

 

 だから、俺は快楽は得ていても、自分の子供を作ろうなどとは思わなかった。


 弱点を晒すような真似はしないと。


 そして結局──俺は敗北など一度も喫したことはなかったのが答えだ。


 ガキ共はいたと言っても、フルパワー構築した俺の城に手を出せる人間はいない。


 とまぁ長ったらしいだろうがよ。

 一言で言えば失うものがないやつが最も強いって話だ。


 それが俺の持論だ。

 よくある少年漫画のようなファンタジー溢れた現象は俺の目にはついぞ映らんかった。


 勇者などと言われていた人間も、崇拝されていた魔王も。


 どいつもこいつも俺の手によって消滅したのが答え。


 『最近移民が多いように思えますねぇ』


 『そうですかー?

 別に私は移民移民と声を上げる必要などはないと思いますが』


 ソファに座る俺は、テレビに映るこのニュース番組を見ながら、思うところが大量にあった。


 『かなり深刻化していますよ』


 「あら、外国の人が沢山来てるって話?」

 

 母がおやつの準備をしながら俺に聞いてくる。


 「らしいよ。

 どうやら去年から結構あったみたいだけど、最近は特にインド系とかあっちの人が多いみたい」


 俺も知らなかったな。

 向こうにいたってのもあるが、いつの間に?


 「母さんも気をつけてよ?」

 

 「大丈夫よー?

 今は霊力戻ったし」


 ⋯⋯あ、そうか。

 

 「いらぬ心配だったね」


 「何言ってるのよっ!

 心配されるのって嬉しいものよ?」


 ここ二週間程は穏やかに母と過ごすお昼。


 端的に言えばかなり充実している。


 まぁ、幸か不幸か。 

 俺の求めていた生活が状況的に叶っている。


 朝起きて南と拳哉の飯を作って⋯⋯あぁ、母と父の分もな。


 この俺が、早朝に仕込みをやるなんてな。

 だが、全然全く嫌じゃない。

 むしろやりたいくらいだ。


 それが終われば洗濯物と部屋の掃除、母は買い出しに行っているのだが、そこで家事が終わった俺と買い出しから帰ってくる母のタイミングがかち合う。


 だがら午後は二人で飯を食いながら世間話タイムってわけだ。


 そんな主夫的な1日なのだが、そこでまさかの新事実。


 父が全然なんの仕事をしているのかという疑問が全く湧かなかったのだが、どうやら実家の後進育成をしていたのだそうだ。


 なんで金を貰わなかったのか?


 という疑問だったのだが、元々金銭を発生させない伝統で来ているというのと、本当の父親だという覇旬が当時起こした問題のせいで日本の陰陽師界から追放されたという背景があるらしい。


 華国関連でも、どうやら波乱万丈らしい。


 しかも全てを話せるようになったのか、最近はよく父は覇旬の話をよくしてくるようになった。


 因果が外れたせいか、ドンドン父親に似ていくなぁとか、言動や態度とか、節々から覇旬を感じると言ってる隣で母も頷いている。


 複雑だが、俺にとっての親は二人だ。

 だからいつもしっかり親は二人だよと伝えるとしんみりしている二人を見るのはなんとも言えない気分だ。


 「そーちゃん今日は何もないの?」


 「もうお別れの挨拶はしてきた。

 だから家から出ることはないよ」


 そう。

 俺からしたら会うことがないかもしれない。


 だから、俺の全財産の半分をそれぞれの口座に分けて与えた。


 全員、ある意味闇を抱えている連中だ。

 少なくとも多くの喜びや幸せは買えるだろう。


 衣里と理沙はいらないと、何か察していたように俺の手を握ってきたのは正直驚いた。


 その代わりにあなたといたいと言われた時は、正直心が動いたのは言うまでもなかったがな。


 「そーちゃん」


 「ん?」


 隣に座る母が、俺の手を握る。


 「いい?そんな事は言わない。

 眼の能力は使っちゃ駄目。


 無茶しない。

 死んでもいいなんて言わない、思わない」


 ここ何週間で何度言われた事か。


 「分かってるよ母さん」


 笑って言うと母は浮かない顔をしている。


 「どうしたの?」


 「最近、そーちゃんが死ぬ夢を見るの」


 「⋯⋯⋯⋯」


 あんまり間違いでもないんだろうな。

 事実、悔いはないから。


 ここに戻ってこれて、欲しかったものはもう⋯⋯手に入ったから。


 「私達も精一杯リハビリしてるし、そーちゃんが生きれるように──」


 「母さん」


 もう、俺に残っているのは。


 「大丈夫だよ」


 この景色が見れただけでも。

 もう、万物の王という肩書きを捨てるには十分過ぎる理由だ。


 「死んでも悔いはない」


 「そんな事言わないで」


 笑うしか出来ない。

 俺にはもう、ここにいる景色にしか、欲しかったものはないのだから。


 ここから外に行く必要がないんだから。


 みんながいる。

 ついでに成長したみんなが。


 俺の作った飯を泣きながら食う兄妹二人。

 レシピが知りたい母。

 黙っておかわりする父。


 どこに理由があるんだ?


 「大丈夫。必ずみんなを守るから」


 まさか、快楽だけが人生だった俺に、こんな顔をする日が来るなんて思いもしなかったな。


 「ちょっと電話してくるね」


 嫌な予感がする。

 移民の量とスピード感が普通ではない。


 手を打てるか?

 

 『どうした伊崎くん⋯⋯いや、先に謝罪をするべきかな?』


 「いえ、きっと手は尽くしたんでしょう」


 『やはり腐ってるとどうしようもないな。

 何か出来ることはあるかな?』


 「ないでしょう。

 ここまでしてしまえば」


 『整備も何も間に合わない。

 やりたい事をやられてこちらとしては手の施しようがない状態だ。


 私も食い止めはするが何もだ』


 俺として出来る事は、もう過ぎ去った⋯⋯か。


 「近々危なくなりますから、家から出ないことをおすすめしておきます」


 この国を変えねばならない。

 だが、喰われてしまうその最後を。

 果てを見なくては、国民も理解できない。


 ⋯⋯なんとも馬鹿な動物なのだと思う自分も、馬鹿なのだろうな。

 

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