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自力で帰還した錬金術師の爛れた日常  作者: ニキニキちょす
世界征服編

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閑話:虎と豹

 「⋯⋯⋯⋯」


 なんだ。

 なんでこいつがここにいるんだ。


 「ォ、オモチシマタ」


 「日本語を勉強しているのか」


 首を振ってわからなそうにしている。

 

 「真壁さん!」


 慌ただしく病室の扉を開けてきたのは、大将の通訳。

 

 「どうした?」


 「良かった。

 目が覚めたんですね」


 「⋯⋯あぁ」


 あの一瞬、あの時。

 全身から湧き上がってきた得体のしれない力。


 あれは一体⋯⋯なんだったのだろうか。

 だが説明できない。


 しかし。


 「俺はもう、まともに動くことはできないのだろうな」


 悔いはない。

 俺は。



 ーーアニキはやっぱり、正義の拳って感じがするっすもん!


 

 「約束を守ることが出来てよかった」


 病室の窓から見る景色は綺麗な快晴だ。

 

 「いえ、真壁さんの身体は治りそうですよ?」  


 そう言われ、数秒俺の頭は固まる。

 

 「⋯⋯?」


 確かに、見ると神経?のようなものは繋がっている。


 足も感覚が残っている。


 「伊崎さんが見つけてくれたんですよ。

 凄腕の医者を」


 ⋯⋯本当、あの男は。


 感謝してもしきれないな。


 「あの男に、借りがまた増えたな。

 どれくらい眠っていたんだ?」


 「三ヶ月ほどですかね」

 

 「そんなにか?」


 三ヶ月⋯⋯どんだけ寝ていたんだ。

 まぁあれだけ酷使しておいて三ヶ月で済んだというのも奇跡ではあるか。


 「大将は?どこにいるんだ? 

 いつも通りクラブにでも行っているのか?」


 「いえ、今は日本に一時的に戻っているようです」


 「理由は聞いていないのか?」


 「一応⋯⋯知り合いの重要なイベントがあるから行くとは言っていましたが」

 

 あの男にそんな重要なイベントがあるとは思えないが⋯⋯。


 まぁ女と会うこともイベントだと言いのける男だ、面構えが本当に分からない人間だ。


 「一応、シルヴァさんが付いていますが、そのための通訳として今は自分が付いている形になっています」


 「一応聞くが、手綱は握っているんだな?」


 あれだけな実力と人脈、人望を抱えている人間なら、こんな簡単に人の下に付くとは思えないが。


 「んー、一応伊崎さんに同じようなことを訊ねたのですが、何かあるならそれは神の啓示をされたというくらいには何もする事ができないような状態だから安心しろ、とだけ」


 つまり大将的には何か手を施してあるということだな。


 「そうか。

 シルヴァはどういう用途でここにいる?」


 「一応真壁さんの周辺雑務と世話、あとはご兄弟の」

 

 「⋯⋯なるほど?」


 兄妹の面倒など見れるのか?

 という疑問が頭に浮かぶが、きっと何か理由があるのだろう。


 「「⋯⋯⋯⋯」」


 俺達は目が合う。

 つくづく、俺達は流れも、境遇も、ある程度似ているのがなんとなく理解できる。


 「ユーファイト」


 「ok,MAKABE」


 形は違っても、俺達はこれから時間共にすることになるのか。


 中々思う所もあるな。


 「それでは、何かあったらベルで呼んでください」


 「あぁ」


 全員が病室から消えていき、俺はまた一人⋯⋯になるのかと思いきや。


 「ここは病院だ」


 「あぁ?いいんだよんなことは」


 黒スーツにグラサンを掛けた草薙がタバコを吸いながら入ってくる。


 「なんかあるなら金くらいは払ってやる」


 「それくらい我慢したらどうなんだ」


 「⋯⋯それで、どうなんだ?」


 「一応無事ではある。

 どうやら大将が凄腕の医者を用意してくれたようでな」


 「そうか。

 それならいい」


 無言がしばらく続く。


 「創一に会ったのか」


 「⋯⋯誰だその男は」


 俺の反応を見ると、奴は見当違いだったようで俺に色々話し出す。


 「なら、色々なプロセスが必要だったというわけか」


 「何の話をしている」


 「まぁそれはともかくだ」


 奴は、至って真剣に。

 

 「もしリハビリ的な段階に入ったら、ここに電話を掛けろ」


 名刺を渡される。

 確認すると、多分こいつの電話番号。


 「なんだ?」


 「絶対だ。すぐ掛けろ」


 この男が真剣だとなんだか調子が狂うな。


 「あぁ、分かった」

  

 「分かりゃいい。

 それとだが」


 「⋯⋯?」


 立ち上がった奴は病室の扉に手を掛け。


 「来年、気をつけろ。

 俺はシェルターを買ったが、戦争が勃発するかもしれん」


 「何言ってんだ?

 2000年の予言じゃあるまいし」


 「ま、お前、人生で命を賭けすぎた人生だろうから、また賭ける事になりそうだな」


 「⋯⋯?なんだそれ」


 「とにかくだ。

 お前、早めに治せよ。

 もしかしたら俺も、隠れているだけでは済まなそうだ」


 冗談という感じはしない。

 もしかして本当に?


 「片隅に置いておく」


 「ふっ、ならいい。

 達者でな」


 





 それから誰もいなくなった病室。

 俺はそこで、包帯ぐるぐるなのにも関わらず座禅を組んでいた。


 なぜ動くのかも、何故こんな事をするのかも理解できない。


 だが、何故かそうしなくてはいけない気がして。


 そして、そして。


 身体の中の蠢きが、その答えを持っている気がして。






ーーーー

あとがき!


この作品を日頃読んでくださってる皆さん、いつもありがとうございます!!


少し遅れましたが、この物語も遂に200話を超えたのを編集画面で見まして、ここで感謝の挨拶をさせてください。


日々皆さんのおハートやコメントを読ませていただいて日々ニタニタしています。


一応作者としての最近、伊崎と白波の話をかけてかなり満足しています。


正直ここの前後の話は投稿が遅かったと思いますが、頭にあるのを書こうとすると、後5話くらい必要だったので本当はもっと書きたいところがあったんですけど、まとめました(笑)


長くなりましたが以上です。


それと恐らくですが、感覚的な予定としては来年頭頃に大まかな完結が見えてるって感じです。


色々続ける部分もあるとは思ってますが今ちょうど、作者の頭の中では戦いは佳境なので。


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