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自力で帰還した錬金術師の爛れた日常  作者: ニキニキちょす
世界征服編

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201/243


 久しぶりの日本。

 そして、色々挨拶回りで忙しくなる年明けである。


 まずは秘密基地で久しぶりの顔たち。


 衣里に理沙、他にも何人もの女の子と久しぶりにお話ししたり、業務的な会話を交わした。


 よしと花南ちゃんとも話しながら近況報告したり、よしとは年始から死ぬほど遊び回りすぎて腰の重力がどこかへ消えていきそうだ。


 星も元気そうだった。

 以前は暗かったのだが、今ではすっかり明るくなった。


 とはいえ引きこもり体質なのは変わらんがな。


 身体も仕上がり気味で笑ってしまう。


 そして。

 そのそれぞれに俺の用意していた口座を渡す。

 

 全員が俺の対応に反応に困ってはいたが、数人は騙せそうにもなかった。


 「ざっきー、話せよ」


 酒を片手によしは──最初から分かっているように黙ってこちらにグラスを突き出してくる。

 

 「⋯⋯いつかな」


 言葉に詰まった俺は灰を落として返事を返す。

 まぁ⋯⋯言ったって分からんだろう。

 

 「なんだそれ。

 らしくねぇじゃん」


 「まぁな」


 向こうでも薄々気付いてはいたが、俺は明るい人間ではないのだろう。


 一生懸命明るく見せようとしても、そうしようとする自分に萎えてしまう。


 「⋯⋯⋯⋯そうか。

 なんかあるんだな」


 「そういう事だ」


 「俺はあんまりとやかく何かを言えるような人間ではないし、救ってもらった側だから何も言えた義理でもないがよ」


 「おう」


 「別に一人で何かをする必要はねぇんじゃね?」


 「⋯⋯⋯⋯」


 「だろ?

 それこそ、もうここまで来たんだから必要になったら声掛けてくれ。


 そりゃあそりゃ駆けつけるわ」


 やっぱり昔から変わらねぇな。

 お前は。


 「ほれ、グラス」


 「あぁ」


 チリン。

 俺達はグラスを合わせてこの雰囲気に酔う。


 「待ってるぜ、親友」


 「待ってろ、俺の英雄」


 「⋯⋯ん?なんの話だよ」


 ──ふっ。


 





 「伊崎くん」


 この人も久しぶりだな。

 料亭の座敷で待つ諸星会長。

 

 「どうも。

 怒り爆発の様子で」


 まぁ、だいぶ時間を掛けたしな。

 それに。


 方法があったとはいえ、この人は最初の俺の飛躍に必要だった貴重な人間だ。


 今では色々な人間と関わってきたがその全てのコネクションがこの人経由ではある。


 「何かあったのかね?」


 「何がです?」  


 「⋯⋯こうして私と飯が食いたいなんて、余程だろう?」


 「俺、そんなに信用されてません?」


 「今までの積み上げの問題だろうな」


 鼻で笑っては諸星会長は俺に酒を注いでくれる。

 

 ──良い雰囲気だ。

 久しぶりにそう感じる。


 「それで?

 どんな用件があるだね?」


 「もし」


 「ん?」

 

 「もし、今年中に俺に何かあったら⋯⋯忘れてください」

 

 酒を飲もうする会長の手がピタリと止まる。


 「悪い伊崎くん。

 もう一度言ってくれるか?」


 「俺に何かあったら⋯⋯忘れてください」


 カタン、と、酒を口にせずに会長は静かに俺を見つめた。


 「忘れる?君を?」


 俺は黙って懐に書き記した書類をスッと出した。


 何か言いたげの様子だったが、空気を察して書類をペラペラ読み進めている。


 「⋯⋯!」


 書類と俺を交互に見つめ、会長は書類を脇に置く。


 「どういうつもりだ」


 「どういう⋯⋯とは?」


 「この書類の事だ。

 何故明かす」


 やっぱり気づいていたのか。


 「これは君にとって重要なカードのはずだ。

 新素材の作り方、今後の展望、そして、君の倉庫の在り処。


 在処に私の寿命ドリンクの換えがあるなんて⋯⋯何故このタイミングで出す?


 飽きたと推測する割にはこれはやりすぎであるし、餞別にしてもおかしい。


 なんのつもりだ。

 私は今後も君からの最小限の動きで付いていくつもりだったのだが」


 「意外ですね。

 あなたがそんなに付いてきてくれるなんて」


 「そりゃそうだ。

 色々では済まないレベルの助力を貰っておいて、何も返さない、付かない⋯⋯なんて三流以下だ」


 「まぁ、長生きすると色々あるもんです」


 「何も話すつもりはないのか?」


 「えぇ。ただのお礼だと思ってください。

 あの時あなたが話を進めてくれたからこそ、今の状況、あなたの立場、人脈。


 様々なことが同時的に起こっているのですからね」

 

 「まるで死期を悟ってる老人のような顔だな」


 ──ふっ、そんなつもりはなかったが。

 

 「大したことではないですよ」


 「その顔は嘘をついているな。

 私も君に助けてもらう直前まで、似た顔をしていた。


 ⋯⋯死相だと言われていたが」


 「⋯⋯⋯⋯」


 どうだろうな。

 正直、もし、あの小僧がアレイスターを名乗っているのあれば五分⋯⋯いや、俺が圧倒的に不利だ。


 何故なら、魔力量が圧倒的に足りない。


 レベル20,30でも活躍できる魔法使いはここでは最強になれるが、80や90と戦うようなものだ。


 腐っても奴は最強の名に恥じない獅子であった。

 

 今は知識や今までの積み重ねでどうにかなってるだけだ。


 どれくらいの相手なのかもわからない。

 そんな相手に、今の不完全な状態で挑まねばならない。

 

 「どうでしょう。

 そうだ。救世主になったら、俺ってどれくらいの金が入るんですかね」


 「何だ突然。

 それこそ金ではないだろうが利権をたんまりくれるんじゃないか?」


 豪快に笑う会長とその後、鍋をつついた。


 終始、この人は俺の気持ちを察してくれているのか、核心には触れずに俺を宥めてくれているようにも思えた。


 だからこそ、あなたに何かを返す必要があった。


 俺が居なくなっても、死ぬまで日本を変えてくれよ?





























 永遠の、日本のカリスマよ。

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