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自力で帰還した錬金術師の爛れた日常  作者: ニキニキちょす
世界征服編

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歴史の一ページ


 『ERURAから続報です!

 緊急記者会見を開くとのことです!』  


 『この度、我々は検証に検証を重ね、微弱だが電力を生み出すことに成功した』


 強烈なシャッターの嵐に光量。

 そしてどよめく報道陣の声。


 んで。寝ている俺の身体を揺らして通訳くんが俺の惰眠を邪魔してくる。


 「伊崎さん、やっぱり早かったのでは?」


 あれから数日。

 ある意味本当の家族として華国で過ごした。


 久し振りに南と拳哉に会ったのだが、二人ともめちゃくちゃ成長していた。


 拳哉は俺を見ると喜んでくれて、最近あった出来事や悩んでることに乗ったりしたりした。


 顔も結構良くなっててイイ感じ。

 ただ一番変化を感じるのは、南だ。


 色気づいて彼氏ができるんじゃないとか思ったくらいだ。


 ──絶対にアイツの男を選ぶセンスは無いと思うから好きになったら顔とプロフィールと喋ってる動画送れ。


 じゃなかったら彼氏しばくって言ったら怒られた。


 ⋯⋯一体何故だ。


 俺が学生の時辺りから性に加速が掛かった気がするのだがな。


 俺の妹だぞ?

 美人に決まってる。


 そのせいで痴漢とかの被害にならないようにタクシーで通えと月に百万円を支給している。


 もし友達がいるのならそれでも構わないって付けとけば面倒くはならないだろう?


 一応俺も空けてる事になってる上に、二人は来年に向けてガチの鍛錬をしないといけないらしいので、俺はパパッとサンフランシスコへと戻りだ。

 

 「あぁ?お前いたのか」


 ムクッと起き上がって煙草に火をつけ、あぐらでテレビを溺れ気な視界で見つめる。


 「一応エリックさんは止めましたからね?」


 「情報には聞いてる。

 誇張ではなくて電力を生み出せたらしいな。


 ここでは少量で上手く行ったと言うくらいだが、本当は結構上手く行ってるんだろ?」


 「はい。しかも恐ろしい勢いですよ」


 「まぁそりゃそうだろうな。

 電力を無限に出来ることの恐ろしさなんてわからないやつがいるのか?


 現代において電力を無視できるなんて進化が一世紀以上の力の差を感じるレベルだろうしな」


 長時間気にすることもなく使えるに加えて生活面、農業、工業、軍事、挙げるだけでもここまではっきり出る。


 「これ、国から目を付けられるのでは?」

 

 「んー、だろうな」


 目を擦りながら目の前に置いてある灰皿に灰を落とし、見上げながらコーヒー片手に答える。


 「こんくらいでちょうどいい。

 既に制裁をエリックたちは受けていた」


 そう。

 物資の遅れや彼らの家族の危険がかなり頻繁に脅かされていた。


 幸い、施設周辺に集めているからそこまで広がりはしなかったが。


 『正直思うところは色々あるだろう。

 実際我々もまだまだ追いついていないのが現状だしな。


 しかし我々はすぐに事を起こそうなどとは思ってはいない。


 とりあえず、電力会社が我々を嫌いになるくらいには──消費する電力を生み出し、まずは自分たちで循環させていく予定だ


 それはそれは農業のようにな』


 ニヤリ顔を決め、エリックは挑発する。


 『我々は受けたモノを数百倍にして返すつもりだ。


 整理券は最後の方になる事をお忘れなく』

 

 記者会見はサッと終わった。


 案の定テレビは異例の議論でいっぱい。

 

 「まずいですよ。

 民衆の声がキツくなりそうですよ」


 「まぁいいだろう。

 その時はその時だ」


 ただ。

 俺としては、これを始めとして向こうの連中が馬鹿を打って来てほしいんだがな。


 美女欲しいし。







 「ソウ!」


 それから数時間後。

 エリックからお呼びが掛かった。


 歩いて10分くらいで到着したのは、規模感で言えば装飾されていないコンビニより少し高いくらいの密閉された無骨な建物。


 「ここは?」


 「ゴッドオブソウのアイディアによって生まれた本当の試作機──ゼウスタワーだ」


 「おぉ、これがか」


 確かに。

 俺の言った通りの規模感ではない。


 まぁ素材も素材だし、小さくてもいいだろう。

 

 「ひとまずは二機作成した。

 一つは本当に実験するための物で、ここは実際に我が社の一部電力を測るテストで」


 話しながら中へ。


 確かにちっこい。

 暗闇の中で少し見上げるくらいのものだ。


 スタッフによって光が灯る。

 

 「久しぶりだな」


 「ん?」


 俺が向こうで魔力を自動で集めていたときを思い出す。


 横にいるエリックに訊ねる。


 「テストするんだろ?」


 「そうさ。

 設計者の大元に来てもらわないとな。


 ⋯⋯早速準備取りかかれ!!

 歴史的な瞬間になるぞ!」


 準備は迅速に行われ、すぐにセレモニーばりの人の数だ。


 中には見慣れた顔が入ってくる。

 

 「伊崎さん!」


 「宏光さん、お久しぶり」


 それぞれ日本で技術担当をしていて、今では年収1億8000万+ボーナスを与えているスタッフの一人だ。


 元は年収1000万くらいだったらしいが、俺の評価でこれくらいまで上がった。


 そして、そのせいでホワイトブラックを達成した最初の一人だ。


 硬い握手を交わし、俺は訊ねる。


 「宏光さん」


 「どうしました?」


 「人生⋯⋯変わりましたか?」

  

 この人は自殺をも視野に入れていた人だった。


 リストラされてしまえばもう後がなく、海外に行くという手もあったがそこまでして⋯⋯という人間だった。


 もしかしたら。

 俺がある意味人生を変えれた人の身近な例なのかもしれない。


 「っ、」


 呼気が少し漏れると、一瞬俯いてパッと明るくなる。


 「はい!

 あなたのおかげで海外に来ても自信が持てて、妻と子供にも恵まれました!」


 「ふっ、そっか。

 現状で不満足なところは?」


 「⋯⋯やめてくださいよ。

 これ以上あなたに迷惑をかけるわけには行きません」

 

 そういう彼は、どこか幸せそうで、今ある人生を最大限に楽しんでるようにも見えて。


 そうだ。

 俺はこういうことがしたくて活動したんだ。


 報われて⋯⋯良かった。

 

 「これからも日本の為にも、そしてあなたの稼ぎも増えるように頑張ります」


 「ハハッ。

 頼むよ、俺の見出した最強技術者先輩」


 何もこの人だけではない。


 後ろで会釈する彼らも、俺が見つけた技術者たち。


 部品や様々な細かい項目を担当している。


 だが宏光さんがリーダーであるから彼らも出しゃばる事なく聞いているだけ。


 「日本の未来を⋯⋯担う準備と覚悟は?」


 問う。


 今、この人たちは次世代の覇者となるツールを完成させた歴史的な瞬間に立ち会う事になるのだから。


 全員が少し恥ずかしそうに顔を背け。

 だが居なくなろうとはせずに、笑って俺を見つめて、こう言った。


 「勿論です」


 「⋯⋯ふっ。

 なら、見ましょうか。

 日本を、最強にする。


 そして個人的に──世界を征服する最初の一歩を踏む、その瞬間を」


 起動核が唸りを上げると、無音ながらコイルが回転していき、火花が散る。


 エーテルの安定が見て取れる。

 さすが日本の技術者だ。


 「我々には目視できませんが、観測、速度テストを計測します!!」


 常人には目で捉えることはできないが、彼らなりに努力して把握することができたようだ。


 宏光さんが片隅で計測を始めている。


 「試作機ファースト、1,10,100⋯⋯凄いです!!


 当初のスケールから遥かに低い見積もりで建設したこのタワーですが、安定して100kWの出力を確認しています!!」


 「そんな馬鹿な⋯⋯!?

 少しのズレもないのか!?」


 エリックが動揺している。


 「テスト現在、安定して100,102の電力を確認しています!


 オシロスコープも異常な程安定しています!

 電圧もこちらの設計通り、誤差範囲0.1から0.5という異常な安定を見せています!」


 負荷も関係ない。

 デメリットなしの──正真正銘の神の産んだ奇跡。

 

 拍手喝采が舞う。


 「実験は成功です!!

 このまま次の段階に移りましょう!!


 すぐに生産と設計のスケールを上げます!」


 声は凄まじい熱狂の歓喜によってかき消される。


 関係者たちは皆これから始まる覇者の道を約束されたようなものだ。


 抱き合う者もいれば、泣いている者もいる。


 「ソウ!!

 神が遣わした日本の奇跡よ!」


 「力強えな」


 そう。

 これから、誰がこの世界に帰還してやったかを──教えてやる地球人よ。

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