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ドキドキ魔力ドリンク その2

 さて、彩り豊かな魔力ドリンクが並び魔力当てゲームが始まったわけだが、まずどれから飲むか。それは私の中でもう決めていた。


「これ!」

「おっ、青色ドリンクからいきますか」


 魔力当てゲームの説明をするのに店主さんが例に取ったドリンクだ。例に取るくらいだから自分が当てやすい魔力が入ってるんじゃないか。私はそう思案した。

 ひんやりとしたグラスの温度を感じながらユイネは青いドリンクを手に取る。そして店主さんに目を合わせ、「いただきます」と言ってから涼し気なドリンクを口に注いだ。

 コクコクと小さく喉を鳴らしながらドリンクを味わっていく。シュワシュワとした舌触りからの、例の魔力と思われる味が喉を通り過ぎていく。


「どうです? 魔力ドリンクは」

「えっとね、まず言わせて。―――すっごい美味しい!」

「それはそれは、よかった」


 舌に残る甘さがあるのに、それでいて後味はスッキリしている。炭酸の濃さも丁度よく何杯でも飲めるドリンクだ。


「これは絶対街でも売るべきですよ。今まで飲んできた飲み物のどれよりも美味しい」

「さすがにそれは言い過ぎでは? まぁ気に入っていただけたなら僕も用意した甲斐がありますね。で、何の魔力が入ってると思いますか」

「う〜ん、生き物ですよね。なんの味だろう〜」


 と、ユイネは言ってから思う。

 ―――そうだ。そういえば私、これまでずっと城暮らしだったから人間と魔族以外の生き物見たことなかった。あれ? まったく検討もつかないぞ。

 そもそも候補すら上がらないという情けない状況で十秒ほど沈黙が続き、店主さんは私に聞いた。


「ヒントいります〜?」

「はい・・・・・・」

「ですよね。なんとなく分かってました。普通街で暮らしてれば人間か魔族以外の生き物とは会いませんよね」


 ―――なんだ、分かってたのか! という悪態を呑み込んで私はヒントを待つ。すると店主さんは四本指を立てて言った。


「では四択でいきましょう。一、アオゲドリ。二、ジョウオウドリ。三、ソウテンドリ。四、カワベドリ。さあ、どれでしょう」

「名前からでも想像つきませんね・・・・・・」


 だが、一応全部「鳥」の仲間っぽい名前がついている。城の書庫にならこれらが載った本も置いてあるだろうか。城に戻ったらこの手の本も探して読んでみるとしよう。

 と、それはさておき、青いドリンクだから答えも名前に「青」が入っているに違いない。ならば答えは簡単だ。

 ユイネは少しの迷いも見せずに答えた。


「じゃあ、一のアオゲドリで!」


 しかし、


「はい残念。違います」


 無慈悲な淡白とした声が返ってくる。


「えー、違うんですか。正解は?」

「二のジョウオウドリですね。この鳥は群れの中に一体だけ女王がいるんですけど、女王は毎日おいしい果実を仲間から貢がれるので魔力も甘くなるんです」

「へぇー。そんな女王システムが・・・・・・私初めて知りました」


 勝手に女王システムとでも呼ばせてもらったが、よくよく考えると私も女王だからその鳥とあんまり変わらない? ・・・・・・いや、よそう。別に私はそんなに貢がれてないし。

 私は顔を横にブンブンと振り、次のドリンクを選んだ。


「次いきましょう、次。これでおねがいします」

「緑ですね。緑は―――」


 と、そんな感じでそれ以降もドリンク魔力当てゲームは続いた。が、少々マニアックな魔力が多すぎて、まともなのはせいぜい一番目の青いドリンクしか無かった。

 例えば緑のドリンクは超巨大のヘビので、黄色のドリンクはまさかの酸を出すカエルの魔力だった。終わってから私は激しく後悔した。


「なんであんなに珍妙な生き物ばっかりなんですか!!!」

「毒性はないから大丈夫ですよ~」


 店主さんはお気楽そうに返した。しかし返事は答えのようで答えになっていない。ユイネは涙目でさらに問いただそうとするが。


「だからもっとまともなのとか―――」

「でも、意外性があって面白かったでしょう? ユイネさんも美味しいって言ってくれたじゃないですか」

「まぁ確かに味は悪くなかったですね、ってそうじゃない。それはあんな生き物たちの魔力だと知らなかったからですー!」

「ふふ、まぁまぁ。いいじゃないですか。次はユイネさんの言うまともなのも用意しときますから」

「う〜〜〜」


 店主さんの言葉は本当なのか。しかしもう飲んでしまった以上どうすることもできないし、これは次に期待するしかない。うん、次に期待しよう。


 ―――そうしてちょっと予想外のドキドキ魔力当てゲームは終わり、その日の雨宿りも終わりを迎えた。

 これが私と魔族の店主さんの雨宿り。次はいつ雨が降るのやら。






 





 



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