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ドキドキ魔力ドリンク その1

「雨の日って気分下がりますよね」

「おや、どうしたんです。急に」

「店主さんは気分下がらないんですか?」

「どうでしょうねぇ」


 私はこの国の女王、改めここではユイネと名乗っている。カフェに来てからユイネはずっと窓の外を眺めていた。

 窓の外は大粒の強い雨が降り続いている。雨の日の王国はちょっと気分が暗くなる。だからこんな日は城を出てこの店に来ているのだ。

 店主さんはテーブルを拭き終わると厨房の方に隠れていってしまった。

 彼の名前はまだ知らない。もっとも、私も仮名を使っているから無理に教えろとは言えないのだが。

 ―――すると、五秒くらいで店主さんは戻ってきた。そして何やら両手にお盆を抱えていた。


「ユイネさん、今日はコレで遊びませんか?」

「コレ?」


 店主さんが両手で持っているお盆には色とりどりの飲み物が乗っている。見たところドリンクのようだ。


「わぁーきれいですね! それ飲み物ですか?」

「立派な飲み物ですよ。で、も! 普通の飲み物とはちょっと違います」

「待って、当ててみせます」

「あんまり時間かけるとぬるくなっちゃうので、長考し過ぎないようお願いしますよ」

「はい! もちろん!」

 

 ユイネは超高速で脳を回転させた。

 店主さんが持つお盆の上には青、赤、緑、黃、様々な色が並んでいる。グラスの中でシュワシュワと泡が浮き上がっているのをみると、おそらくあれは炭酸水か何かで原液を割ったものだ。水で割って飲む飲み物、色の豊富さから言ってお酒ではない。かと言って単なるジュースでもない気がする。

 結局すぐに答えは浮かんでこず、ユイネは唸った。


「えっと、えっと、う〜・・・・・・」

「はい時間切れ」

「ちょ、ちょっと待ってください。今当てますから!」


 と、必死の懇願もむなしく店主さんは答えを言う。


「正解はですねぇ、これは『魔力ドリンク』です」

「魔力ドリンク!? それが!?」


 魔力ドリンク、それは元々魔族の飲み物で、つい最近まで人間の間では魔のドリンクと呼ばれていた。

 その名の通り、魔力が注入されたドリンクなのだが、魔族との交流が盛んになるにつれてこの王国でも売られるようになっている。とはいっても、まだまだ小規模展開らしく私も見たことがなかった。


「ユイネさんは見るの初めてですか。まぁ、まだ人間の間には馴染みがありませんし、ここでぜひ飲んでいってください」

「やったぁ。ありがとうございます、店主さん。――でも飲むのはいいんですけど、それで遊ぶってどういう意味ですか?」

「ふふ、それはですね・・・・・・」


 店主さんは少しだけ楽しそうな顔をして青のグラスを持ち上げた。


「例えばこのドリンク。何の魔力が入っていると思います?」

「えっ、・・・・・・わかりません」

「ですよね。だから飲んで答えを当ててみてください。僕は答えを全部知っているので、全部当てられたらユイネさんの勝ちってことで」

「なるほど。それが遊び、ってことですか」


 店主さんは頷き、テーブルを挟んで私の向かい側のソファに座る。次にお盆を置いて一つずつドリンクを私の前に並べてくる。これは明らかに彼からの挑戦と受け取っていいだろう。


「さぁ、どうぞ」

「ええ。いきますよ」


 外の雨はまだまだ止みそうにない。今日の雨宿りもまだまだ始まったばかりだ。

 絶対に当ててやる! と心の中で意気込みながらユイネは最初のグラスに口をつけた。


 







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