王室も大変ですわ
いつものようにお店の端に座っていると
近くのお客さんの会話が聞こえてきた
「もうすぐ王子とシュリ姫の結婚式だな」
「あぁ。でも素直に喜べねぇよ」
「王子は正義感は強いんだけどなぁ」
嘆く2人を不思議な気持ちで見ていた。
そういえばここでの政治って何も知らないわ
前世は税金とかで給料がっぽり取られて
「やってらんないわー!」って言いながらお酒飲んだりしてたっけ。
懐かしい気持ちで2人の会話を聞く
「王妃はまだ伏せてるのか?」
「だろうよ、仲が良かったしな。」
「おかげでシュリ姫はパーティー三昧。王子も姫のする事には寛大だしな。俺たちの稼いだ金だってのに……」
「隣国は王が死去するのを待ってるらしいな」
「秀才の2つ名は伊達じゃ無かったからな。
しばらく戦争もなく平和に暮らせてたんだが、」
「相手はあの強欲王だ。諦めないだろ……」
不穏な会話に思わず首を傾げてしまう。
「強欲王?秀才?」
「お、聖女様はどこ出身だい?」
「え、えーっと……遠いところ…。」
「うちの国の王は立ち回りや人柄が良くてな、相手の懐にすぐに入るような気の優しい方なんだ。そのおかげで戦争もなく苦労することも無く今までやってこれたんだが」
「それをよく思わない隣国の強欲王っていう2つ名の王様が俺たちの国を侵略しようと狙ってるわけだ。」
「王様の人当たりは良くても、息子の方はからっきしでな。悪いやつじゃないのはわかってんだが……。なんて言うか、空回りするやつでな」
「この前も貧民街が風邪をひかないようにーって、服を配ってくれたんだが……そんな季節じゃ無いしな。ありがたいんだが、あいつらは今を生きるのも必死だから食料の方が喜ぶってんだ。」
「貰った衣類を売ろうにも使い古しを配ってるもんだから高くも売れないしな……。」
「そ、それは。だいぶと迷惑なのでは……?」
「ハッハッ!間違いねぇ!」
「王妃様は王様の番でな!元々身体が強い訳では無いんだが今回王様が倒れられた事で立ち直れないのではと話されててな。他国からの手紙や面会も断ってるらしいな」
「そうなんですね……」
「しかも、そんな空振り王子の結婚する姫が浪費家で有名でよ!王子様の一目惚れだとよ。」
「この国はどうなるか……」
「「はぁー」」
喋り終えた一同は未来を考えると溜息をつくしか無かった。
「私は微力でしかお手伝いは出来ませんが、何かあれば教えてくださいね」
「あぁ、聖女様には癒されるな」
「そこらの王様よりも俺らの見方だな」
話し終えた2人は感謝を伝えると満足そうにその場を後にするのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「姫様、あなたの美しいお姿に私は目を奪われてしまったようで是非1度お相手をして頂けないでしょうか?」
「いやいや、何を。姫様、私こそ貴方様の美しいその瞳の中に閉じ込めて頂けませんか?」
「うふふ。そんな、私のせいで争わないで♡
今日は予定があるから、また今度シュリと遊んでくれるぅ?」
「「もちろんでございます!」」
見目麗しい男二人を後に可愛らしい姫はバルコニーへ向かった。
すると後ろから執事らしき人が現れる
「姫様、ご報告があります。棟で監禁していた方なんですが、脱獄したとのことです。」
「なんですって!?」
先程まで可愛らしい素振りをしていた姫は別人だと思うくらいの形相で執事の返事を待つ
「監視していた侍女と兵士が隠蔽していたようで、脱獄してから数週間が経っていると思われます。」
「侍女と兵士はすぐに始末しなさい。それと、お姉様をすぐに見つけてもとに戻してちょうだい」
「承知しました。」
(なんなのよ。ほんっっっと、使えないやつばっかり!シュリはもうすぐ王子と結婚するのよ!!!なんで姉様なんかに足を引っ張られないといけないのよ!監禁なんてせずにすぐに始末すればよかったのにぃぃぃぃ)
「シュリ。ここに居るのかい?」
悶々としていると声が聞こえ振り返ると王子が立っていた。
「王子♡♡」
急いで王子の所へ向かい、抱きしめる。
「今日も何も無かったかい?シュリは元気?」
「もちろんですわ♡皆様シュリに優しくしてくれるの!!お陰様で心も体も幸せですわ」
「君が幸せだと僕も嬉しいよ」
「もぅ、王子ったら!シュリも王子が幸せだと幸せですわ」
2人の甘い会話が夜の闇に消えていく