優しい店主に感謝です!
カランコロン
「いらっしゃい」
少し強面の男が挨拶をする
「あの、こ、これを、、売りたいの」
持ってきた宝石を差し出すと
店主は瞳孔を開きながら宝石を見つめる
気不味い雰囲気が流れると
店主が話を切り出す
「こ、こんなに綺麗な宝石を見たのは初めてだ!
ダイヤモンドじゃないか?
どこで見つけたんだ?どうやってとったんだ?
俺の店で売ってくれるなんて夢みたいだ!
本当に売ってくれるんだな?」
店主の反応に圧倒されてしまう
「え、えっと、、、」
「悪い悪い!
最近宝石の価値が上がって貴族方が買い占めして回って来ないことが多くてな。
しかも、こんなに綺麗に採取された宝石を見るのは初めてだ。盗んできたもんじゃないだろうな?」
「ち、違います」
「ハハハ。冗談だ!俺の名前はネロだ。俺と嫁の2人でやっている何でも屋みたいなところだ。
お客さん、名前は?」
「…。」
「お客さん?」
前世の名前しかわからないわ。
何も答えない訳にはいかないし、いいわよね。
「り、凛」
すると店主は瞬きをし
「こりゃ、驚いた。お客さん女性だったか!
全身真っ黒だからてっきり男かと…
あ、女性だからって売らないわけでは無いからな!ちゃんと代金は払うぜ!
こんなオンボロだか、ちゃんと金はあるからな!
ハッハッハ!
でも、よくうちで売ろうと思ったな!
他にも綺麗なお店はいくらでもあったのにな!」
「他のお店はわからなくて、」
「宝石なんてもんは、嘘ついて安く売ろうって奴もわんさかいるんだ!なんだって今は価値も爆上がりだからな!これからはちゃんと情報を得てから売るとか考えなよ」
「わ、わかりました。ありがとうございます!」
「まぁ、なんやかんや得をしたのは俺だしな!
料金はどうする?現金か?魔法タッチか?魔法口座か?」
「た、タッチ?口座?」
「タッチはここ最近人気なもんでな。なんたって手を翳すだけでお金が払えたり貰えたりするでな!
手がお金みたいなもんさ!
口座は銀行ってところに行ってもらえるもんでな!そこでいくらお金があるのかやいくら出すかを数字でわかるもんさ!
現金はお金そのまま渡すことな!」
「そうなんですね。色々教えてくださりありがとうございます。」
「まぁ、額も額だから、現金はやめた方がいいと思うぞ。でも、この調子だと口座は持ってなさそうだしタッチでもいいか?」
「は、はい。えっと、私はどうすればいいですか?」
「ここの魔法陣に手を翳してくれ!」
すると店主は手のひらより少し大きめの魔法陣を持ってきた。
言われたままに手をかざすと光に包まれ体に何かが入ってくる感覚がある。それから頭の中に
「1億ゴールド入金されました。残高1億ゴールド」とアナウンスのような声が響く。
「最近ではどこでも使えるし、残高確認したくなったら頭の中で聞くだけでわかるぞ。」
「わぁ、すごい。」
「また、なんかあったらいつでも来いよ!
もちろん、宝石の買取なんて大歓迎だ!」
「は、はい!
こちらこそ、ありがとうございます」
「まいどありっ!」
店主は笑顔で凛を送り出した。
この世界で初めてのお金をゲットした凛は
足軽にお店を後にする。
それから大きなお腹の音が鳴り
朝食の美味しそうなお店を探し歩く。