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ドキドキの花火


「そんな、ありえない……」


目の前の現状を受け止め切れずに後ずさりすると

近くに落ちていた気を踏んでしまった


パキッ


「っだれ?」


素早く凛のいる場所を振り向くヨダカ


「にゃーん!!!」

「にゃーーーーーーーー!」


「猫か。」


近くにいた猫がヨダカの前で喧嘩をし始めた。

その隙にできるだけ音を出さないように急いで路地裏を抜け出した。

人が賑わう街へ出ると周囲を見渡し、ヨダカが居ないのを確認すると溜息が出た。


「ふぅー」


安心して震える身体を落ち着かせながらゆっくりお店へ帰った。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


猫の激しい喧嘩の声と血なまぐさい路地裏の中




「…………この匂いは」



誰も居ないはずの道を、ヨダカは動揺しながら見つめていた。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


温かな陽の光が部屋を包む



ーなんていい天気なんだろう。

こんなに気持ちのいい朝なのに何もしたくない


憂鬱な気持ちで天井と見つめあっていると約束の時間になり、ヨダカ迎えに来た。

溜息が出そうなのを我慢し、重い体を動かし急いで身支度をしてドアを開ける。



「おはよう、凛!今日も……」




挨拶をしていたヨダカの言葉が途中で止まってしまい不安げに見つめる。


「お……おはよう、どうしたの?」




すると、顔を赤くしながらボソリと呟く



「綺麗だ……」


「……あ、ありがとう」


「コホン!え、えーっと、今日が楽しみすぎて全然寝れなかったや〜。凛は?ちゃと寝れた?」

「う、うん…………。」

「どうしたの?大丈夫?」

「だ、大丈夫よ!気にしないで…」

「え?ほんとに?あ!」

「な、なに?」

「俺がかっこよすぎて緊張してるんでしょう?」

「……そ、そう!だっていつもと雰囲気が違うから」


「そーかな?」


照れた顔をしながらヨダカは嬉しそうにしている。

それに対して凛は昨夜の事を思い出し、青白い顔をしていた。

あんなに楽しみにしていたデートだったが震える体を隠すのに必死だった。

幸いにも見惚れたであろうヨダカはデートの緊張だと感じてくれている。デートを終えたあとは、ヨダカとは距離を置こうと考えていた。



お揃いのリングをつけて街へ出かけるとハートのキラキラした風船や、手を繋いで歩くカップル。

前世日本人の凛には堂々とした愛情表現やピンク一色の街に慣れておらず少し恥ずかしく感じた。


「あ、あのお菓子美味しそうだね」

「うん、凛のほうが美味しそうだよ」


「あの、噴水嫌いだね」

「凛のほうが綺麗だよ」


「……人が多くて前が見えないね」

「僕は凛しか見えないよ!!」

「…。」


ちらっと横目でヨダカを見ると

仕草ひとつも見逃すまいと吸い込みそうな勢いで凛を見つめていた。


しまいには、「人が多いとはぐれそうで心配」と

がっちり手を繋がれた。

「ははは。」人混みに紛れて逃げることが出来ず笑うしかなかった。



お祭りの終盤にさしかかり、辺りが暗くなる


「みなさま、あと3分後には花火があがります」


と空に文字が浮かび上がり、カウントダウンが始まった。


木陰の近くへ行くとヨダカが先に座り

「おいで!」と眩しい笑顔で両手を広げて待っていた。

「いや、私は……」と隣へ座ろうとしても阻止され渋々ヨダカの膝の上に座り抱えられるようにがっちりホールドされた。


花火がスタートすると、夜空だけでなく

木のそば、草の近く、目の前など色んなところで花火が上がった。


「さすが、魔法……」


生きているみたいに動き、そこらじゅうでパチパチ輝く花火を見いるように見ていた。


「僕もみて」


耳元で呟かれ、思わず抑えながら振り返ると

ヨダカの唇と重なる。


「……/////」


体を反って離れようとする凛をギュッと抱きしめる


「ダメだった?」

上目遣いで聞かれ何も言えずに口をパクパクさせていると


「かわいい」ともう一度キスされた。


「もぅ!やめてっ/////」とヨダカの胸板を押し離れる。

楽しそうにケラケラ笑れた。



1時間経った花火も終盤に差し掛かると

視界全てがパチパチキラキラして周囲が見えなくなってしまった。


音も大きくなり、周囲の声や風の音も聞こえなくなった。


不思議だな〜。と思っていると昨日のヨダカの姿を思い出す。

今日とは別人の姿に実は双子の兄弟とか居るんじゃない?とか他人の空似かな?と思い始めた。

だって、こんなに紳士で甘え上手でかっこいいヨダカが人を殺すなんてありえない。

ちゃんと確認しないと!でも、もし本当だったら…


「…ヨダカと別れないと」



「え?」




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