ピザとサンペレグリノ
午後7時、帰宅途中に訪れたスーパーマーケットで半額のピザを入手した。
頭も時間も平常時に訪れたスーパーで見るピザは高いと思って手が出ない。
宅配ピザと比べると圧倒的に安いのだが。
だからこそ疲れていて半額だとつい手が出てしまうのだ。
実質1/4円。
オーブンで温めたピザ。
3種類のピザがひとつにまとめられていて、アスタリスク状に6等分の切れ目が入っている。
海老が載っているので多分ペスカトーレとバジルが乗ったド定番のマルゲリータ、卵黄っぽいのが見えるので多分ビスマルクピザ。
ここ最近の癖で半月をふたつ作ってしまった。
ふたつのお皿を持ち、お行儀悪く足でベランダへのドアを開けると目の前に手がいた。
「こんばんは、いい匂いですね」
手は匂いにつられて待っていたようだ。
下のだろうか匂い。
「食べます?」
「はい」
半分のピザを渡すと驚きが返ってきた。
「こんなにいいんですか? なんだか申し訳ない気が」
「大丈夫ですよ、半額でしたので」
半額と伝えるのも悪い気がしたが、それ以上のお返しがきたら申し訳なく思ってしまう。
だから自分のためだ。
「ちょっと待っていてくださいね」
とお隣さんに言われてから30秒。
隣から、プシュっと音がしてストローが入れられた瓶が指し出された。
瓶にはサンペレグリノと書かれている。
色合いからしてオレンジジュースとかなのだろうが、普段見かけるオレンジより赤っぽい。
「これ良いやつなのでは?」
「大丈夫ですよ、余りものですし。それにピザなのですし」
今日はふたりしてイタリア風だった。