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お隣さんとベランダごはん  作者: シルヴィア・紫の夜明け


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4/9

たこ焼きとアフォガード

 今日はスーパーでタコが、お安く売られていた。

 なので夕食はタコ焼きである。


 以前、焼き鳥を焼いた時に使った電気コンロのプレートを、たこ焼き用に取り換える。

 焼き鳥と兼用の為、ひとつのプレートで焼ける数が8個までしかない。

 けれどもひとりベランダでゆったりとした時間を過ごす為だったら、これで十分なのかもしれない。

 ぶつ切りにしても、プレートのタコ穴よりも大きめな、茹でダコを躊躇なく生地に入れていく。

 これは自炊の醍醐味と言えよう。

 たこ焼きの周りが黄色く色ついた頃を見計らって、溢れ出てた生地を穴にタコに向けて寄せていく。

 固まった生地を全然といっていいほど回せないので、穴に油を垂らすと素人でもクルっと回転させられた。

 潤滑油とても大事。

 焼けた合図のきつね色。

 ひとつ20円くらいの経木舟皿に盛り付けていく。

 ソース、青のり、かつお節を掛け、屋台風たこ焼きの完成である。マヨはお好み派である。


 ひと舟目を食べながら、ふたつめの舟を完成させると視界に左手が「こんばんは」をしてきた。

 やっぱり手が生えているようにしか見えない。

「こんばんは」と手に挨拶すると手はゆっくりと引っ込んだ。

「こんばんは。何かお祭りっぽい匂いがするんですけれど」

 お祭りのような匂い? 小麦の生地が焼ける匂いだろうか。

「今日は、ひとりタコパです」

「なるほど。今日はタコ安かったですもんね」

「食べますか?」

「ご馳走になります」

 たこ舟に割り箸を添えて左隣に差し出す。

「でもよかったんですか?」

「何がです?」

「これでひとりタコパじゃなくなりましたよ」

 確かに、ふたりタコパ。もしくはただのタコパ。

「食事は複数人で食べた方が美味しい時もありますし」

「ふふっ、ものは良いようですね」


 隣から手を合わせる音とごちそうさまが聞こえてきた。

「少し待っていてください」と隔板の向こうから言われた。

 プレートやらボウルをテッシュで拭いて待っていると、左隣から紙コップが指し出された。

「なんですかこれ」

 紙コップにバニラアイスが入っていて、黒いソースがかかっている。

 丁寧に小さなプラスチックスプーンも刺してくれている。

「アフォガートです」

 今日はイタリアか。紙コップで旅する世界旅行も悪くない。

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