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シンザキが依存と呼んだ僕と彼女の関係はまだ続いている。彼女は昼休みに僕のところにやってきてマシンガンのようにしゃべっくった挙句に帰っていく。一緒に帰ることもある。これは依存の関係だろうか。自分で考えるのは面倒なので彼女に聞いてみた。
「依存だね」彼女は明快に答えた。
「ならもう止めなくちゃならないな」
「どうして?」
「君はもう一人でも生きていけるだろう?人間はいつか自立しなくちゃならないんだよ」
「じゃあもう依存は止めよう。これからは友達として訪問するからね。よろしく」そんなわけで僕たちの関係はなにも変わっていない。
ハヤシシュウスケに一度会った。放課後の帰り道だ。僕は部活なんてやっていないので基本的に返りは早い。にもかかわらず彼に会った。彼は美術部員で、僕とは生活習慣が違うはずだ。そのことを聞いてみた。
「美術部はもう止めたんだ」
「ふうん」
「君はそのことについてどう思う?」
「そりゃ、残念だ。僕は君の絵が好きだった。けれども、そもそも君が美術部員を続けていたって僕が君の絵を見る機会があったかどうか分からないんだ。残念ではあるが、どちらでもいいというところが妥当かな」
「難しいことを聞いて悪かったね」彼はニコニコしていた。ほんとうに好感が持てる顔つきだ。
シンザキにも一度会った。廊下ですれ違った。「小説はまだ出来上がっていないのか」と聞くと、「まだだ」と答えた。
「いつできる」
「春は過ぎるだろう。夏になるかもしれん。しかし必ず完成させる」
そんなわけで、春が来て僕たちは進級した。




