入部希望?
廃屋に行った翌日。
いつもと変わらず学校で過ごしている。
昼休み、俺が昼ご飯を食べようとすると、護が声をかけてくる。
「駿、俺もいいか?」
「あぁ、構わないよ」
前の席にある椅子を俺の机に向け、護が座る。
「そうだ、駿。お前、最近よく女子といるな」
「……は?」
しかめっ面で、護が俺を見るが俺は目線を逸らす。
「目撃情報はあるぞ、太刀川さんと一緒に登校して、廊下で日向さんや北条さんと話しているというものを!」
こいつ、こうなってくると面倒なんだよな。
小さくため息をつき、
「最近知り合っただけだぞ。それに空とは幼なじみで家が隣だから一緒に登校してるだけだよ」
護は俯き、体を震えさせている。
右手に持っている缶コーヒーを握りつぶす勢いにも見える。
そして、左手を机に叩きつける。
「決めたぞ!今日の放課後、お前を尾行する!」
「……は?」
放課後になりミステリー研究部に行こうとカバンに荷物を詰めていると、護が俺の傍まで来る。
「さぁ、お前が急にモテた理由を解明してやる!」
「いや、モテてる訳では無いからな?」
右手を握りしめ体を震わせながら、
「せっかく高校生になったんだ……俺は……モテたい!」と言い放つ。
こいつ何言ってんだと思い、護のことを見てため息をつく。
「ハイハイ、モテまくるといいですねー」
そう言って教室を後にする。
「おい、逃げるのか!お前の秘密暴いてやる!」
と叫び、護が着いてくる。
ミス研の前まで来ると、扉を開け中に入る。
「あら、今日は遅かったわね」
「駿何やってたのよ!」
日向はいつもの感じだが、空は不機嫌そうだ。
もう1人、北条もいたが必死にノートに何かを書いているようだ。
空が不機嫌というのも今朝からだ。
昨日満足に部活を出来なかったからであろう。
「悪い悪い、こいつがしつこくて」
そう言って護のことを見る。
護は唖然として部室の中を見ている。
その姿はまるでロボットがフリーブしたかのようだ。
そして、突然俺の首もとを掴み廊下へ引っ張り耳打ちする。
「おい、あの楽園のような所はなんだよ」
「何って最近入ったミステリー研究部だけど」
「……そういうカラクリか」
そう言うと俺の首元を放し、視線を下に向ける。
護の様子を見ていると、空が「どうしたの?」と声をかけてくる。
「え、あぁ、こいつがいきなり……」
「た、太刀川さん!」
俺が喋っている最中に護が割って話し始める。
「お、俺もこの部に入れてください!」