奇妙な出来事
それを目にした俺は、全身に悪寒が走った。
ただのイタズラか、他の人が何かしたあとなはずなのだが、どうもそれに対して異様な雰囲気を感じた。
「へぇ祭壇じゃない、何か儀式でもしてたのかしら」
「儀式……おもしろそ……」
日向も北条も楽しんでる……
空はというと、目を輝かせ祭壇をジロジロと見回している。
「何をしたんだろうね!この五芒星も気になる!」
俺も部屋に入り、恐る恐る祭壇を覗く。
簡易的に作られた石の祭壇で、中心にはお猪口のようなものが置かれている。
五芒星はというと、すでに乾いた状態で黒ずんだ焦げ茶色をしている。
「……なんだよこれ、怪しすぎだろ」
「なるほどね、こういった儀式があったのね……まだまだ知らないオカルトの世界がこんなとこに!」
空ははしゃぎながら祭壇の写真を撮っている。
「何かしらこれ?」
一方、日向は部屋の隅にしゃがみ、何かを見つけたようだ。
「えっと……どしたの?」
「ええ、ちょっとね。咲、こんなの見たことある?」
北条も日向の横にしゃがみ、日向が指しているものを見ている。
「えっと……印みたい、だね?」
「何か儀式に必要だったのかしら?」
「ど、どうなん……だろ?」
「何何?いいもの見つけたの!?」
勢いよく空が2人の肩に手を乗せ、覗き込む。
「ん?何これ?不思議な模様だね」
オカルト女子3人ともが知らない模様か、俺が見ても分からないだろう。
部屋を出ようと廊下の方に向かおうとした時、天井の方からガタッという物音が聞こえてきた。
「え、何?」
隅の方を見ていた空たちも目線を上にあげる。
これといった変化は無さそうだ。
さすがに今の物音に驚いたようで、3人は少し不安な表情を浮かべている。
「屋根裏で何かものが倒れたか落ちたんだろ。大丈夫だと思うぞ」
そう声をかけ、廊下の方を見る。
すると、開けた覚えのない引き戸が開いているのだった。
なぜこの引き戸が開いているのだ?
彼女たちの様子を見ると、まだ何かをやっているようだ。
俺はゆっくりと開かれた引き戸へ歩を進める。
そして、部屋の中を覗くとそこには梯子があり、天井の跳ね上げ戸のほうへと続いていた。
その時、俺は見てしまった。
その跳ね上げ戸がひとりでに閉まった瞬間を。