謎の小屋
『ミステリー好きな彼女たち』5
その日の夜は大変だった。
勉強を嫌がりひたすら現実逃避しようとする空を必死に宥めながら勉強をさせていた。
そのかいあって、なんとか小テストを乗り越え、初の野外活動日を迎える。
13時、学校の校門前で集合し、揃って起野山へと向かっていく。
「へぇ、ここが起野山かぁ」
「調べてみたけど心霊スポットのようね」
「えっと……面白いものあるかな」
と、各々が言っているが……
なんだこの禍々しい雰囲気は!?
目の前には木々が広がっており、まだ昼間だい言うのに奥の方は薄暗く視認しきれない。
オカルトスポットというのはこんなものなのか?
そんなことを思い、呆然と見ていると
「じゃあ駿、リュックから懐中電灯だして」
と空が手を差し出してくる。
「……いいけどさ、この荷物の量は何?」
まるでバックパッカーか登山家が身につけるようなリュックを背負っているがなかなかに重い。
「いやぁ、必要そうなもの詰めたらこうなって」
リュックを下ろし、恐る恐る中を覗く。
中には水やお菓子、懐中電灯、カメラ、コンパス、御札、塩、毛布、十字架、寝袋といったものが入っている。
「……なんだよこれ」
「全部必需品でしょ?」
「いや、寝袋はいらないだろ」
各々懐中電灯を手に持ち、森の中へと入っていく。
3人はワクワクした様子で、森の中をキョロキョロ見回している。
俺は警戒を怠らないように後ろをついて行く。
しばらく歩くと、麓の方にボロボロの小屋を見つける。
「あれ……? こんなのがあったの?」
北条の知ってた情報にこの小屋はなかったらしく不思議そうに眺めている。
そして、その小屋へ向かおうと話しているようだ。
だが、その小屋に近づいてはいけない。
そんな気がして仕方がない。
3人は凄い興味を示しているがダメな気がする。
「ちょ、ちょっと、そこはやめておかないか……?」
「何、あんたビビってるの?」
「何言ってるの駿!目の前にあんな雰囲気のものがあったら行かないてはないでしょ!」
……ダメだ、止められない。
「……分かったよ、行ってくればいいだろ。俺はここで……」
言い終わる前に首元を捕まれ、引きずられてしまう。
「そんなこと言わないでさあさあ」
「え、いや、待て、あそこはダメだって!」
説得もできず言いくるめることもできず、小屋の前まで連れてこられてしまった。
「明かりも着いてないし、廃屋だよねきっと」
「えっと……そのはずよ?……」
「入ってみないと分からないわよ」
やめろ、ダメだからそこは。
俺の思いが届くことなく、空は廃屋の扉を開いてしまった。
中は薄暗く、部屋の床は板張りでゴミなどが散乱している。
また、部屋の奥には扉があり、その途中の小さな廊下にも引き戸がついている。
そして、少しだけ変な臭いがした気がした。
「ほほう、これこそオカルトスポット!興奮してくるねぇ」
「いや、それより……なんか変な臭いしないか?」
「さぁ?別に普通じゃない?」
空も日向も気にならないのか……
ほ、北条は……と思い北条の方を見るが、ワクワクした表情のためもう……
「奥は何があるんだろう」
空は奥の扉に近づき、手をかける。
「ちょ、やめ……」
次の瞬間、扉を開くとそこには謎の祭壇と床には五芒星が描かれていた。