表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖獣の国  作者: 回めぐる
6/9

戴冠式

 

 正午を告げる鐘の音は、今日に限っては特別な意味も併せ持つ。


 数多の民が新たな王を一目見るため、仕事の手すら休めて城の前に集まった。


 最上階のバルコニーに現れたのは、精悍な顔立ちの若き第一王子。その側には黄金の聖獣が影のように寄り添う。王子の背後には彼の弟妹たちが並んでいた。王家の血を引く王子、王女たちである。


 その中には端麗な黒髪の男も佇んでいた。血染めの王子と畏怖される第二王子も、今日ばかりは式典用の白い衣装に身を包んでいる。


 やがてそこに、老年の男がゆっくりと歩み寄ってきた。彼こそ、今日限りで退位する現国王である。

 男は金色に輝く王冠をその手に運んでいた。第一王子の正面に立つ。親子は幾千もの瞳が惹きつけられる中でただ数秒、言葉なき言葉で語り合い、そして父の手から、冠は息子に譲られた。

 父の手によって、王冠と共にこの国の全てを冠した王子――否、新国王。彼が民衆に向かって手を挙げた時、辺りは熱狂の渦に包まれた。皆が新国王の誕生を祝っていた。


 正午の鐘は、今日に限っては祝福のために打ち鳴らされた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ