竣&美華 デート4
「好きな人といつまでも、一緒にいたいだけさ」と竣は思いながらデートを満喫中です。
「愛している人の傍に永遠にいたいだけなの」と美華は思いながらデートを満喫中です。
僕と美華ちゃんは駅前に着くと乱れた呼吸を整えるためにベンチに座った。
僕は一旦立ち上がり、自動販売機でレモンジュースを2本買った。
「変な店だったね」と僕は美華ちゃんにレモンジュースを渡して言った。
「あっ、ありがとう! 頂きま~す! 本当だね。あのお店はすぐに閉店しそうな予感がするわ」と美華ちゃんは言って美味しそうにレモンジュースを飲んだ。
「あの辺りは滅多に行かない場所だから今後は遠回りしようね。……。まあ、美華ちゃんの言った通りになる可能性が高いかもね」と僕も飲みながら言った。レモンジュースが美味いわ。
「何の宣伝もしないのは逆に失礼だよね。宣伝も大事な仕事なのにね」と美華ちゃんは言って口を尖らせた。
「悪い人ではなさそうだったから、また機会があれば様子見で見に行くのはどうだい?」と僕は言うと遠くに視線をやった。
「一応、心配ではあるからね。変に情を移すのは良くないんだけど」と美華ちゃんは言って相槌をした。
「竣くん、そこのギャラリーでイラストレーターの個展に行ってみようよ」
「よし行ってみるか。美華ちゃん、ギャラリーって、そこの『衛藤ギャラリー』でしょ? 有名なギャラリーだから」
「うん。そうだよ」
「よし、行こうぜ! 美華ちゃん、レモンジュースは飲み干せるのかい?」
「飲めるよ。おごってくれてありがとう」
「いえいえ、どういたしまして。美華ちゃん、今日は凄く天気が良くて嬉しいよね」
「そうだね。天気が良いと清々しくてハッピーな気持ちになっちゃうね」
「美華ちゃん、お昼はさ『ルーシー』に行こう。お勧めはエビピラフなんだ」
「うわぁ〜、それは美味しそ〜う! 楽しみだわ」
「大盛りでね、500円という安さ。味も最高」
「イェーイ! ラッキー! 楽しみ、楽しみ」と美華ちゃんはジャンプしてから何度も僕と握手をした。
「竣くん、昨日見つけたんだけどもね」美華ちゃんはポケットからポストカード取り出した。
「うん? どれどれ」僕は美華ちゃんから手渡されたイラストが描かれているポストカードを受け取った。
アリアス像と作者と思われる人物画が涙を流している絵が描かれていた。
アリアス像はわざと口を開けて描かれていた。
リンゴを片手に持った裸の女性と野生の狼がこちらを見ている。狼の目が孤独で寂しそうだった。
深い森の中で幻想的な滝を背景にして並ぶように描かれていたが、裸の女性は遠近法で目の前に迫ってくるように大きめに描かれていた。おおらかな印象を与えてくれる絵だった。
アクリルと油絵で描いているようだ。
イラストレーターの名前は「荒木涼介」。
『衛藤ギャラリー』は僕らの街では有名なギャラリーだ。
前衛、イラスト、油絵、日本画、彫刻、詩人の朗読会などアーティストなら誰でも表現出来る場所だ。
個展は1週間、展示される事になっていて、2日後が最終日だった。間に合ったので運良く見れる。
『衛藤ギャラリー』は、10時から18時迄で最終日は17時となっていた。
保育園の側にある『衛藤ギャラリー』は、天使たちが小さなグラウンドで動き回る姿がギャラリーの窓からよく見えていた。
保育士が自転車に取り付けた大きな籠に乗せた数名の天使たちと共に、歌いながら散歩に行く姿が頻繁に見られた。子供達の姿を見ると微笑ましくて胸が高鳴るような愛しさを感じてしまう。
保育園の斜め前には、お花屋さんがあった。
花も天使たちと調和していて綺麗に揺れていた。パワーやエネルギーが共鳴し合っているのだろう。
この辺りは生命力が高く感じるリズムや空間が確かにあった。
僕と美華ちゃんは腕を組んで、お互いを見つめ合い、微笑みを交わしながら、歩いて5、6分の場所にある『衛藤ギャラリー』まで、のんびりと歩いていった。
『衞藤ギャラリー』は5階建てのビルの3階にあった。ビルのオーナーは衛藤東助さん。67歳。
無名で貧しくとも光を放つアーティストを発掘するのを生き甲斐としていて、世間に送り出すのを『自分の使命』と思いながら仕事をしていた。
アクの強いおっさんだけども、鋭い眼光には精神的な若さと純粋さ、情熱が溢れていた。何度も御目にかかったが、会うたびに緊張をしてしまうけど、優しい人柄なんだ。
つづく
ありがとうございます♪




