亜美のtalk
竣と亜美は幼なじみで、とても仲良しです。
亜美はメロンソーダを持って竣の家に行った。土産話がたくさんあるのでウキウキしていた。「私は今を生きるわよ!」と竣の家の玄関先で言ってからインターホンを押した。
『はい』
『亜美でぇ〜す』
『どうぞ。開いてるよ』亜美は玄関の扉を開けた。竣は茶の間から笑顔で現れて出迎えてくれた。
「お邪魔しまぁ〜す」
「亜美、遅かったね。悪いねぇ」
「はい、メロンソーダ」
「亜美、ありがとうございます。部屋にいこうぜ。メロンソーダは、いくらだった?」
「5本で100円くらいだったかな」
「嘘!? 計算が間違ってないかい?」
「竣、「サン」は30周年セール開催中でね、メロンソーダがさ、なんと1本、税込み価格で20円だっけな? 30円だったかな?」
「マジ!? 凄い価格だね。はい、500円」
「ちょっと、多いよ?」
「良いよ。気持ちさ」
「ありがとう」
「それにしても、かなり安すぎるよねぇ」
「そうなのよ。北海道産の大豆を使った豆腐が30円、鹿児島産のホウレン草が20円だったよ。チーズが好きだからお母さんに内緒で勝手に買ったんだけどもね、メーカー品のチーズ15個入り930円が、な、な、なんと180円なのよっ。おまけにだよ、原産地がフランス産ときたもんだ。イヤになっちゃうくらい安いわよね。
あとね、買わなかったけどもね、オーストレェ〜リアッ♪ の牛肉も安かったんだよ。アルゼンチン産のハチミツも安かったしさ。本当はね、業務用サイズのチョコレートのアイスクリームが欲しかったんだけど、これまたビックリ! 2500円が、なんと330円だったのよ! 残念ながら止めたけどね」
「サンのセールはいつまでやっているの?」
「11月末。3ヶ月間もやるなんて太っ腹よねぇ」
「亜美、安いに越したことはないけどさ、なんだか血迷ったようなイカれたような安さだな。そういえばさぁ、サンの店長って、お人好しみたいな印象だったよな」
「竣、実はさっきね、凄い事件にね、遭遇して、私、巻き込まれちゃったのよ。万引き犯3人組の奴を見たのよ。
3人のうち2人が懐にたくさん品物を入れていたのを見たのよ。その時は残りの1人が見当たらなかったけども、私が店員に言おうとしたら、残り1人、リーダーらしい奴に見つかってねぇ、私の胸を揉んだり連れ去ろうとしたのよ。怖かったけど超腹立ったわ」
「なんだって!! 大丈夫だったのか?」と竣は大声で言った。
「ちょっと、うるさいって、声がばかデカイって。まあね、今は少し落ち着いてきたけどね。なんとか大丈夫よ。警察や万引きGメンや私服警備員のおばさんが来て大変だったけども。リーダーの男がさぁ、連行される時に暴れ出して走って逃げ出したのよ。そしたらさぁ…」
「そしたら?」
「遠目でハッキリとは見れなかったんだけど、男が外に逃げたとたんに、縄に括られて引きずられていったみたいなのよねぇ。あれは何だったんだろう?」
「……」
「道路の5、6メートル先から、ずっーとウンコが散乱しまくってたし」
「……」
「竣、どうしたの?」
「思い当たる人物を1人だけ知っているよ。詩音の友達でディーン・マックィーンという人だと思う」
「えー!詩音の友達!?」
「カウボーイなんだ」
「はい?」
「カウボーイ」
「嘘でしょ?」
「ここだけの話、本当」
「げっ!?」
「年齢不詳。明るい奴だったよ」
「色んな人がいるわね」
「本当にね」
「詩音は元気かな?」
「元気だよ。遺跡を発掘しに行ったよ」
「詩音の夏ね」
「そうだな」
「竣、帰るわ。また遊びに来るからね」
「おう、いつでもおいで」
「子犬は?」
「爺ちゃんの所だよ」
「これは、今、描いている絵なの?スゴくない?」と亜美は立ち上がってイーゼルに近寄った。
腰に手を当てながら立っている裸婦画のデッサン。
「そうだよ。木炭デッサンだよ」
「綺麗な裸婦画ねぇ。美絵ちゃんは?」
「美絵ちゃんのお婆ちゃん家に北海道に行っているよ。夏の北海道は涼しいみたいだね」
「羨ましい。じゃあね。バイバイ!」
「またね!」僕は亜美と玄関先で別れると自分の部屋に戻り絵を描き始めた。亜美は怖い思いをしたから喋りまくっていた。『無事で何よりだった』と僕は思っていた。
トントン
「はい、誰?」僕は木炭を削りながら言った。
「俺だ。竣、ちょっと話がある」と和雄爺ちゃんはドアを開けながら言った。
「なんだい?」
「今晩、ジョンとミッシェルを俺の部屋で一緒に寝かせても良いかい?」
「うん、いいよ」
「やったぜ! ベイビー! あとさ、スルメを食べさせてもいいかな?」
「ダメに決まってるでしょうが! 歯がないし、塩分あるし、ダメ!」
「わかったよ。止めとく。何を食べさせたら良いか、スズ婆ちゃんに詳しく聞いてくるよ」
「あっ、爺ちゃん、このメロンソーダ皆の分だからさ、冷蔵庫に入れて置いてくれるかい?」と僕は床に置いてあったサンの水色のビニール袋を手渡した。
「わかったよ」と和雄爺ちゃんは言って、走って茶の間に戻っていった。
よし! デッサン開始だ。
つづく
ありがとうございました!




