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確かな痕跡

亜美に危機が!?


 「痛い、離してよ!!」


 「お嬢ちゃんは何も見ていないよな?」


 「しっかり見ましたよ。万引きをしているところをね!」


 「ちょっと、あっちの方の入り口まで、大人しく一緒に行こうじゃないか」と亜美の腕を掴んだ男は言うと亜美の左胸を強く揉んだ。


 「やめてください!! 大声を出しますよ!!」と亜美は怒鳴った。


 「口を塞ぐ事もできるんだよ」


 盗み終えた2人の男が亜美と男のやり取りに気が付くと、駆け寄ってきて加わり、3人で亜美を囲んで睨むように見下ろしていた。


 亜美は胸の動悸が激しくなってきたので右手で胸元を押さえていた。

 3人の人相、亜美の腕を掴み、胸を揉んだ男はヒラメ顔で目が離れていた。左の眉毛がピアスをしているために半分無かった。


 ヒラメの男の口臭がキツかった。亜美は鼻を押さえながら立っていた。


 もう1人は、オドオドした気の弱そうな顔をしていた。鼻の下に5針縫った傷跡があった。


 もう1人の男は、無表情で無口だった。下っぱの子分といった印象だった。何故か、アイシャドウをしていた。


 「離してよ!! さっきから腕が痛いんだってば!!」と亜美は腕を振りほどこうとしながら怒鳴った。

 男たちはその言葉を無視してヒラメ顔の男と残りの2人は入り口に向かって亜美を引きずりながら歩かせた。 


 亜美は『これはヤバイ、何とかしなくちゃ…』と思考を回転させて、何か良い脱出方法がないかと急いで考えを巡らせていた。


 『助けて! 痴漢です!! 連れ去ろうとしている!』と大声で叫びたかったが、怖くて声が出せなかった。


 亜美は南弍梦山での瀬都子の活躍を羨ましい思いを抱いていた。

 『瀬都子に出来るなら私だってやれるはずだ』と亜美は強い決心を決めると、カゴからメロンソーダのペットボトルを取り出して、ヒラメ顔の男の股間、急所を思いっきり強く殴った。


 「グエッーッ! おえっ。くる、くる、苦しいっ!」とヒラメ顔の男はしゃがんで跳び跳ねると何度も腰を叩き吐き気を堪えていた。


 亜美は解かれた腕を撫でると、インフォメーションまでダッシュをしたが、


 「誰もいないじゃん!」と叫び、後方20メートル先にある《関係者以外立ち入り禁止》の扉まで走る事にした。3人組が追い掛けてきた。亜美は振り返らずに全力で走った。


 缶詰の売り場で補充をしている店員を見つけた。


 「す、すいません! 店員さん!! 万引をきした3人組の男に追われています。男は私の『胸』を強く揉んだりもしました」と亜美は呼吸を乱しながら汗を吹き出して言った。


 「万引きに痴漢かよ!! どこにいる?」と人相が怖そうな店員は立ち上がって辺りを睨み返した。


 「あそこ!」と亜美が後方を指差すと、躊躇っている3人組の男たちがいた。男たちは入り口に走って逃げようとした。


 「あいつらか!!」と店員は言うと、イヤホンを押さえて後ろのポケットから無線機を取り出し「入り口を封鎖! ガードマン、すぐ3人組がそっちにいくから捕まえろ! 万引きにチカン容疑だ! 警察に通報しろ!!」と早口で話した。


 「お嬢さん、万引きをした男たちは何を盗んだか見たの?」と店員は舌打ちを繰り返して、苛立ちながら言った。


 「おにぎり、マカロニグラタン、お酒など、たくさん懐に入れていました」


 「チッ、クソ野郎どもがよ! おっと、レディーの前で失礼しました。分かりました」と店員は缶詰を持ったまま言った。

 

 店員と亜美は入り口に向かった。3人組は、ガードマン3人と私服警備員のおばさん4人に取り押さえられていた。


 亜美は痴漢の証言をするために「サン」の事務所に行った。3人組とは別室の部屋だった。


 「怖かったわよねぇ。警察官がすぐに来るからね。おばさんたちもさ、3人組を狙っていたのよ。おばさんたち全員ね、あいつらが盗んだ所を確認していたし、痴漢も見ていたし、確実に防犯カメラにも映っているからさ、何も心配しなくて良いからね。あいつらが入り口から外に出た所で捕まえなければならない規則なのよ。怖い思いをさせたわねぇ。ごめんねぇ」と大仏みたいなパーマをしたおばさんは言った。


 大仏パーマ並みに美しいヘアスタイルのおばさんは亜美の頭を優しくいつまでも撫でていた。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 警察官5人が事務所にやって来た。亜美は万引きを目撃した事、胸を強く触られた事を詳しく伝えた。


 「そうですか、分かりました。今から防犯カメラのチェックをします。警備員の方々も痴漢の状況を確認していますので、お嬢さんは、もうこのまま帰宅して宜しいです。もう大丈夫ですからね」と若い警察官が敬礼をしながら優しく亜美に言った。


 「分かりました。どうも失礼致します」と亜美は頭を丁寧に下げて言うと、買い物カゴを持ってレジへと向かった。


 亜美はカゴを見ると「あっ! これじゃヤバイなぁ」と声を出した。途中で引き返して、飲料水の売り場に行くと、ヘコんだメロンソーダを新しい方に変えてからレジへと向かった。


 辺りが騒がしくなってきたので、振り向くと3人組が手錠を掛けられて連行されていた。ヒラメ顔の男は警察官の腕を振りほどこうと激しく抵抗をしていた。


 残りの2人は血の気の引いた顔をして大人しく連行されていた。


 「あ、待てこの野郎!!」と警察官が怒鳴り声で叫んだ。

 ヒラメ顔の男は腕を振りほどき、手錠をしたまま、入り口に走っていった。


 警察官が慌てて追い掛けていったが無線機で「不覚だ。今、万引きと痴漢の犯罪者が外に逃げようとしているから後は頼む!」と警察官は叫んだが、パトカーは他に誰も乗っていない様だった。


 亜美は食い入るように逃走劇を見ていた。


 亜美はスーパー「サン」の外に出れなかったので、ハッキリとは確認できなかったが、突然、横から縄が飛んできて、ヒラメ顔の男が縄で体を括られた状態で倒されると、えらいスピードで引きずられていく姿が見えたような気がした。


 周りのお客も一斉に入り口を見てざわめいていた。


 警察官は安堵の表情を浮かべながら無線機に向かって「そのまま警察署まで連れていってかまわないから宜しく頼む」と言った。


 亜美はカゴをレジの前に置いてから外に出てみた。

 

 すでにヒラメ顔の男の姿はなく、引きずられた痕跡が地面に残っていたのと、道路の5メートル先から、幾つもの大きな(ふん)が点在して落ちていたこと以外は何も分からなかった。





つづく

姿は見れなかったけどもね、やはりアイツかな? 皆もそう思うよね?


ありがとうございました♪

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