表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/214

途中経過!( D.M登場!)

約束の時間、15分も遅れたけれど…。

 スズ婆ちゃんは迷わず真っ直ぐ、白のライトバンに向かって歩いていた。

 助手席の青白い目付きの悪い優男は薄ら笑いを浮かべていた。

 

 庭にいたボディーガードの2人が急いでスズ婆ちゃんの横にピタリとくっついてきた。


 外の門番と自宅内の扉をボディーガードしていた男が、ライトバンから出てきた大男2人を縄と手錠で締め上げていた。


 木の上で見張っていた青い背広の男は、一連の様子をスマホで全て録画をしていて、記録として完全な状態で証拠を残していた。


 坊主頭とスペシャリストと上半身裸の筋肉男は、まだ外に姿を見せず茶の間で待機をしていた。


 地下の部屋の夏奈子と美華ちゃんを完璧に護衛して守っているボディーガードは、顔色1つ変えないで今も扉の前で立っているはずだ。

 

 和雄爺ちゃんは、玄関の外に出てきて仁王立ちをしながらスズ婆ちゃんの様子を見守っていた。


 和雄爺ちゃんは余裕な顔をして見ていた。


 僕は、最後の1人の大男と向かい合って、にらみ合いを続けていた。

 

 大男は感情のない目をしていた。サイボーグのような佇まい、ブリキのロボットように全体の動きが固くて、ぎこちないように感じていた。


 たぶん、喧嘩慣れはしていないのだろう。大男の額に、うっすらと汗が滲んでいるのが見えた。

 

 大男は「頼まれたから仕方なく来たんだよ!」というような怖じ気付いた表情が、一瞬、浮かんだような気がした。


 後に退けないのだろう。説得をすれば気持ちが動くかもしれないと思ったが、感情のない目をしたまま、僕を見つめている限りは、なだめたり、話し合いは無駄に終わることだろう。


 「どうする?」と僕は大男にチャンスを与えるつもりで言った。


 「こうするしかないのさ」と大男は言って僕に殴り掛かってきた。

 

 僕は軽くかわす。大男は唇を噛んで更に殴り掛かってきた。僕は素早く後ろに動いてかわす。


 大男はポケットをまさぐりナイフを取り出した。ナイフを右手左手と交互に持ち替えている。

 

 僕はフットワークでベストなステップを踏んで体でリズムを取っていた。


 大男はナイフを刺してきた。僕は間一髪、しゃがんで避けた。すぐにアッパーカットで大男の顎を確実に強く捉えた。大男は仰向けに倒れて動けないで喚いていた。

 

 上半身をゆっくり起こすと、頭を振って顎をさすり出して唾と一緒に血を吐き出した。多量の血だった。

 

 口の中が大きく切れているようだ。


 大男は立ち上がって形振り構わず僕にタックルをしてきた。丁度良い位置に向こうから頭がやって来た。

 

 僕は腰を深く落として重心を移動させる強めのパンチを大男の脳天に目掛けて殴り付けた。

 

 大男は前のめりに倒れて動かなくなった。


 僕は勝利の余韻に浸ることなく、大男を跨いで避けると、急いでスズ婆ちゃんの後を追い掛けて、ライトバンへと走った。


 スズ婆ちゃんは助手席の男と話そうとしていた。


 ボディーガードはスズ婆ちゃんの前にいて防御をしていた。

 

 助手席から降りて出てきた青白い目付きの悪い優男は、腕を組んでスズ婆ちゃんの話を聞いているようだった。


 僕はスズ婆ちゃんの傍に着くとスズ婆ちゃんの話の内容が聞こえてきた。


 「あんたのやったことは犯罪だよ。これだけ多くの証人がいる中では、あんたの主張や意見や説明や発言や言い逃れや嘘八百は通らないからね! 庭を荒らしやがって!! 可愛い花壇の花の命を奪いやがって!! 門を壊し、レンガを壊したな。全部、あんたが弁償しなさいよ。綺麗に全てを弁償しても、あんたの事は許さないよ!! 夏奈子に心理的恐怖を植え付けた事が何よりも一番許せないね!! あんた私を甘く見るんでないよ!!」とスズ婆ちゃんの強烈な巻き舌、ドスを聞かせた口調の、デカイ声、響く声、その迫力のある声に僕もボディーガードも、誰もが驚いてビビってしまった。


 「お婆さん、僕は車を運転していませんよ。しかも、この車はそこに縛られている太田の車ですから。僕は無関係です」と青白い目付きの悪い優男は薄ら笑いを浮かべて言った。


 「何処までお行儀が悪い奴なんだ!!」とボディーガードの男が青白い目付きの悪い優男の胸ぐらを掴んで言った。


 「あんたの名前は、田賀津吉(たがつよし)だね」とスズ婆ちゃんは構わずに言った。『何で知っているんだろう?』と僕は不思議に思った。


 「だったらどうだって言うんだよ!!」と田賀は悪びれる事なく言い放った。


 「あんたは何様のつもりなんだい!!」とスズ婆ちゃんが怒鳴った。


 「うるせーな! 知るかよ!! 早く夏奈子に会わせろよ!! ババア!!」と田賀はヒステリックに叫んだ。


 「どうなっても知らないよ。私を本気で怒らせたんだからね、あんた……」とスズ婆ちゃんが言い掛けた時だった。

 

 「ハーハハハハハッ! ハーハハハハハッ!」後ろの方から高らかな笑い声が聞こえてきた。


 皆で一斉に振り向くと物置小屋の屋根の上に馬に股がったカウボーイの姿をした男がいた。


 「なんだあれは!?」ボディーガードは目を飛び出さんばかりの顔をして叫んだ。


 「どうやって屋根に上ったんだろう?」僕は呆気に取られながら言った。


 「何なんだ!?」和雄爺ちゃんも見上げていた。


 「カウボーイかい……」スズ婆ちゃんは目を細めて言った。

 

 「反省しない奴は許さなーいよっ!!」カウボーイの姿をした男は、よく通る大きな声で言った。

 

 僕は腕時計を見た。午後5時15分だった。

 

 詩音が連絡してくれた「ある方」とは、あのカウボーイの男だと分かった。

 

 「誰なんだい?」スズ婆ちゃんは男に向かって叫んだ。


 「俺かい? 俺はマックィーンだ。ディーン・マックィーンだよ」カウボーイの男は贅沢すぎる名前を名乗った。


 ジェームス・ディーンとスティーヴ・マックィーンの名前を混ぜ合わせたのだろう。


 ちなみに、ジミーとマックィーンは本当の友達だ。 

 

 場所は50年代のニューヨーク。当時まだ無名だったマックィーンは車の整備工場で仕事をしていた。

 

 そこへジミーが愛車の車やバイクを修理に整備工場へ出していて、よく通っていたそうだ。ジミーとマックィーンは意気投合し、それから仲良くなったとのことだった。

 

 ジミーはレーサー。マックィーンも同じくレーサーだった。天才同士は引き合うのだ。


 物置小屋の屋根にいるカウボーイは、夕陽を背に白い歯を見せて陽気に笑っていた。


 「おい、本名は何て言うんだ?」と僕は怪しげなカウボーイに叫んだ。


 「俺かい? ディーン・マックィーンだ!!」カウボーイの男は強く言い張った。


 「分かったよ~、物置の屋根がヘコむから早く降りてきなさ~い」と和雄爺ちゃんは間延びした声で言った。

 

 「その前に。おいっ! そこの変質者っ!! お前だけは許さないぜ!」ディーン・マックィーンは、しかめっ面をして言うと、右手で投げ縄を回し始めた。

 

 フラフープ並みにデカい輪っかを作って宙に浮かせて振り回すと、口笛を吹き鳴らして、ハニかんで笑った。


 ディーン・マックィーンは白のカウボーイ・ハットに青いデニムの長袖のシャツ、ブルージーンズを履いていた。なぜかブーツは黒のサイドゴア・ブーツだった。


 ディーン・マックィーンを乗せた馬は颯爽と物置小屋の屋根から飛び降りた。


 「おおー!!」と周りに、どよめきが起こった。


 ディーンは投げ縄を回しながら、田賀津吉に近付いていった。馬は猛烈に速かった。


 僕も、スズ婆ちゃんも、ボディーガードも、散らばるようにして避けた。


 ディーン・マックィーンは投げ縄を田賀に目掛けて素早く投げた。見事に輪っかが田賀の胴体に入った。


 馬は息巻いていた。ディーン・マックィーンは「HEY、海はどっちの方角にあるんだい?」と僕に聞いてきた。田賀津吉は縄を解こうと必死だった。


 「向こうです。海は20分くらいの所にあります」僕は指を差して言った。


 「オッケー! 行くぜ!! ヒャッハァッー♪」とディーン・マックィーンは叫び声を挙げると馬は喜んで走り出して、投げ縄がピンと張るのと同時に田賀は倒れて引きずられていった。


 僕らは一斉にディーンの後を追い掛けた。


 「やめろ!! 止めてくれ!! 背中が熱いから止めてぇ!!」と田賀は初めて感情を表して大きな声で叫んだ。


 土ぼこりや石や草などが田賀の背中に当たって痛そうだった。


 馬は爆走していたために、とてもじゃないけれど追い付けなかった。

 

 これから海まで悪夢の20分間、田賀は引きずられることになるのだった。

 

 スズ婆ちゃんと和雄爺ちゃんが「車に乗って追い掛けよう!」と言った。

 

 「皆さん、この車に乗ってください」ボディーガードのリーダーが言った。 


 皆で大型車のキャンピング・カー並みの車にに乗り込むと勢いよく走り出した。

 

 前方に馬の尻尾と引きずられている田賀の姿が見えてきた。田賀は真っ黒に汚れていた。


 「悪い奴は地獄行きさ!! ヒャッハァッー!!」とディーン・マックィーンは叫びまくっていた。


 「誰が呼んだんだい?」とスズ婆ちゃんは僕に言った。 


 「詩音だよ。てっきり、警察関係が来るかも、と思っていたんだけどねぇ……」僕は予想だにしないタイプの人物の登場に頭が回らないでいた。

 

 ようやく、海に着くと、波打ち際で馬に引きずられている田賀津吉の悲しい姿が見えた。

 

 馬は海に興奮しているようで喜びまくって爆走しているようだっだ。 

 

 ディーン・マックィーンは投げ縄をしっかりと右手で掴んでいた。


 田賀津吉は全身水浸しになって、右へ左へと、いつまでも繰り返し引きずられていた。

 

 僕らは『仕方がない。収まるまで、黙って見届ける事にしよう』と言う話で意見が一致した。

 

 「ヒャッハァッー!! ヒャッハァッー!! 悪い奴は地獄行きなんだぜっ!! ヒャッハァッー!! 正義を甘く見るなよ!」とディーン・マックィーンは叫びまくっていた。





つづく

ありがとうございました♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ