可愛い天使
クタクタになった竣くん。お疲れさん。
僕は藤本さんと別れた後、「そろそろ家に帰ろう」と思い駅まで歩いていた。
僕はクタクタでヨレヨレで歩いていた。今日は生涯で特別な日になってしまった。ジャン・アレックス・水詩と偶然出逢って友達になり、最新作の詩集まで戴いたり、藤本さんとコンタクトレンズをあっちこっち探しまくったり。思い出に残る日になって良かったと思いながら歩いた。
5分くらい歩くと駅の近くにある『あじさい公園』まで来た。何気なく水飲み場の近くにある茶色いベンチを見ると、ベンチの側に段ボールの箱が開いた状態で置いてあるのが目に入った。
ちょこんと、1匹の子犬が顔を出していた。僕は驚いて足を止めた。子犬がこっちを見ている。
しばらく見つめ合う。
僕は「わん」と吠えてみた。
「ク〜ン、ク〜ン」と子犬は甘えた声で僕を呼び寄せてきた。
僕はあまりの可愛さに、思わず、2、3歩、子犬に歩みかけたが、堪えた。
「今時、珍しい。捨て犬か…。今、家は飼えないんだよなぁ。昔は犬を飼っていたんだよ。今は金魚と亀は飼ってもいいけど、犬、猫はダメなんだってさ。
お母さんがダメって言うんだよ。昔は家に犬が2匹いたんだよ」と僕は子犬の側に行き話し掛けていた。
「キャン、キャン」とつぶらな瞳で甘えた声でこっちを見てくる。
「ダメだよ。甘えてもね。じゃあ帰るね」と僕は手を振ってその場を離れた。
僕は子犬が心配だったが、情を移すと離れがたくなるので、振り返ることなく公園から歩き去って行った。子犬の心細そうな鳴き声が聞こえていた。
『可愛い子犬だったから、きっと誰かに拾われているはずさ』と自分に言い聞かせながら僕は歩いた。
暫くして駅についた。
時計の針は午後3時50分分だった。
僕の家は2駅離れた近くにある。街に行く時間は18分くらいだ。交通の利便が行き届いていて、絶妙な距離が、なんとも嬉しいかぎりだった。
電車の開け放たれた窓から、夏の爽やかな風が車内に流れていく。
僕は電車に揺られながら、今日1日の奇跡を思い起こしていた。素敵な日だったというのが感想だった。
僕は詩集を眺めながらジャン・アレックス・水詩に思いを馳せていた。詩集を開いて読んでいると、段ボール箱の子犬の事が頭に浮かんできた。僕はそれについて真剣に考えていた。
つづく
最近、ペットショップによく行くのですが、シベリヤンハスキー犬の子犬とチワワの子犬が、可愛くて堪りません(笑)犬は可愛いね!
読んでくれてありがとうございました!また、読んでね♪よろしくお願いいたします!




