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最高の贈り物

ジャン・アレックス・水詩と瀬川竣との出逢いは素晴らしい。

 ソフトクリーム専門店『7(ナナ)』の店の前に野次馬やファンの人で溢れていた。

 

 僕とジャン・アレックス・水詩は店の前で握手をした。ジャンは素敵な香水の香りがした。

 

 「また、どこかで会おう。お互いのアドレスの交換は済ませたのだから、竣君と僕たちが一緒に写した方の写真を送ってくれよな。楽しみにしているよ」とジャン・アレックス・水詩は僕に嬉しそうに笑って言った。

 

 「どうもありがとうございます! 必ず写真を送ります」と言って僕らは別れた。

 

 ジャン・アレックス・水詩はファンに揉みくちゃにされていたが、愛想よく「ありがとう! ありがとう! ここのソフトクリームは美味しいよ」と言って足早に歩いていく。

 

 つぐみが彼の腕を組んで振り返ると、僕に向かって手を振りながら笑った。


 ジャンは手を上げてタクシーを止めた。ジャンも僕に手を上げてピースをすると、2人はタクシーに乗り込んで東へと去って行った。

 

 出逢いこそ人生の中で最高の贈り物だ。ジャン・アレックス・水詩とは初めて会ったのに、どこか懐かしい感じがしたのはなぜだろう? と僕は思っていた。

 

 毎日、彼の詩集や記事を眺めていたからかもしれないし、ソウルメイトだからかもしれない。

 

 偶然、同じ時間帯に『7(ナナ)』に行ったのも運命が引き寄せたからだと感じていた。本当に出逢いは突然訪れる。

 

 美華ちゃんの時もそうだった。相手を見た瞬間に雷に打たれたような衝撃が体に走り、心から沸き上がる懐かしい気持ちを感じていき、魂に優しさが染み込んでいくのだ。

 

 この感覚は経験しないと分からないかもしれないが、誰にでもソウルメイトがいるのだから、分かってくれる人が多いと僕は思う。

 

 欲しかった詩集が本人からプレゼントされたこの喜びを誰に伝えたいか、もちろん、美華ちゃんに伝えたい。

 

 その前に生意気な妹の夏奈子に自慢をしたい気持ちが凄く大きい。夏奈子にラインを送ってみた。


 『詩集を手に入れました』


 『へぇー。良かったね♪』


 『ジャン・アレックス・水詩と友達になったよ! お前の兄貴は凄いだろう!』


 『そういうさぁ、子供くさい嘘や冗談は、そろそろ止めにしてくれる? こっちは忙しいんだけど!』


 『ジャン・アレックス・水詩には彼女がいてね、見事に今日、先ほど、御婚約をいたしました。夏奈子、ジャン・アレックス・水詩とお前の兄ちゃんは友達になったんだよーっ! これは本当の話です』

 

 『怒るよ!!』

 

 『もし、嘘じゃなかったら、夏奈子、どうする?』

 

 『一生、何でも言うことを聞いてあげるよ。そんなことより、フラフラしないで、早く、帰ってきなさいよ!』

 

 『夏奈子、今から最高機密の極秘ファイルに保存してある写真を送る』

 

 僕は先ほどジャンたちと3人で撮った写真を夏奈子に送付をした。

 

 すぐに夏奈子から電話が掛かってきた。僕は電話に出ないで無視をした。

 

 夏奈子からラインが届いた。

 

 『兄ちゃん、どうなっているの?』

 

 『兄ちゃん、本当に!?』

 

 『兄ちゃん今すぐ戻れ!』

 

 『早く戻れ!』


 『すぐGet Back!』


 『マジかい!』


 『ちょっと、兄ちゃん?』


 『今、どこ?』


 『何とか言えよ〜!』


 『兄ちゃんは凄いね!!』


 『なんとか言いなよ!』


 『隣の女は誰? つぐみ!?』


 『兄ちゃん、無視をするなよ! 長原つぐみなの? ジャンの女は、長原つぐみなのかって聞いているのよ!』

 

 『本当だって、わかったから、早く戻って!』

 

 『兄ちゃんは偉大だね♪』


 『兄ゃんはカッコいいね♪』

 

 『兄ちゃんは偉いなぁ!』


 『マジで偉いよ! ジャンはハンサムじゃん♪ ジャンと一緒なんて凄いじゃん♪』


 『何とか言えってよ! 話を聞かせなさい!』

 

 『兄ちゃんはさすがに凄い男だわ!!』


 僕は夏奈子に返信をしないで歩いた。

 

 本屋に行き、ジャンを特集した雑誌を夏奈子のために買い直した。

 

 本屋を出てしばらく歩いていると、服屋のショーウィンドウでデボラ・ハリーのTシャツが飾ってあったのが目に入った。

 

 『夏奈子に似合うなぁ』と思い僕は店に入った。店員に値段を聞くと7千円もしたので僕は店をすぐに出た。





つづく

読んでくれて、どうもありがとうございます!

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