冴子さんの話1
詩を書いたり連載小説を書いたりとハードに執筆しています。
「冴子さん、最近、外地から怪しい2人組が来ているみたいですね。自転車泥棒と遭遇したとか」
「そうなのよ。玄関を開けたらさ、変なチンチクリンの男が私の10万円で購入した自転車をかっぱらおうとしていたのよ~」
「それで冴子さんはどうしましたか?」
「助走して男の胸元へラリアットしたね。強くしたよね。ムフッ」
「そ、そ、それで、男の容体は?」
「気絶していたからね、男を砂浜まで運んで裸にしてきた。男の服は海に投げてきたわよん」
「パ、パワフルな行動ですね」
「そんなことないわよ。楽勝よ~」
「いつ頃の話ですか?」
「1週間前かな~?」
「男の人相は覚えていますか?」
「ハッキリとね。覚えちゃってるぅ」
僕はチンチクリンの男が豆スピンだと確信していた。
「男の右側の頬にイボがありませんでしたか?」
「あったわ、金○みたいなイボがあったわよん」
「そいつは豆スピンという名前の男です。人魚を捕まえようとして、とある洞窟に侵入していました」
「豆スピン? 変な名前ね。人魚伝説ならね、お日様島よね~。ねっ、南ちゃん」
「うん」と南さんは頷いた。
「人魚伝説ですか?」
「そう、人魚伝説よん」
「人魚伝説か。興味があるけど、冴子さん、とりあえず話を戻します。冴子さん、刺酢股源五郎という男を御存知ですか?」
「知っているわよ。死神の男でしょ? かつて時の人だったからね」
「その刺酢股源五郎が、お日様島にいます」
「ゲェ―――ッ!!!!!! 死神の男が!? マ、マ、マジでマジで!? いや~ん、いや~ん、こわあ~い。私、超怖いんですけどぉ~。こわあ~い。すんごく、こわあ~い。こわあーい」と冴子さんは言って南さんに抱きついた。
「よし、よし、よし」と南さんは冴子さんの頭を優しく撫でた。
「竣くん、どこにいるのよぉ~ん、こわ~い。殺されちゃう。いや~、怖い話よねぇ~」冴子さんは南さんと頬を寄せ合って言った。
僕は穴に落ちて洞窟にいたこと、豆スピンとの関わり、刺酢股源五郎の石投げ事件、ネットの人物紹介で刺酢股源五郎を詳しく調べた件などを詳しく説明した。
南さんは僕がお日様島に来たイメージは掴めたが、どうやって海を渡って来たのかが分からないと言った。僕自身も全くの同感だった。
「冴子さん、原田真美子については何か知っていますか?」
「究極的なクレーマーだったわね。私ね、『愛しきピザ』というピザ屋のオーナーなのよ。その原田ってオバサンがね、『クソまずいピザを作るな!』だとかさ、『オカマがピザを作るな!』とかさ、『まずいから返金しろ!』だとかさ、『オカマは死ね!』とか言ってくるのよ~ん。私は女なのに~」冴子さんの瞳に涙が溢れてきた。
「それは酷い」
「私は頭を下げて何度も返金したり、謝ったりしてきたのよ。本当にあのクソババア―! うぇ~ん、うぇ~ん、うぇ~ん」と冴子さんは子供のように天井を見上げて泣いた。
「冴子ちゃん、泣かないでよ」と南さんは言って冴子さんを抱きしめた。
「冴子さん、何処にでも悪魔のような女はいますからね。昔、僕が小学生の時、近所に住んでいた、いつも赤いシャツを着たおばさんがね、小学校から帰宅途中の子供たちを捕まえてさ、やたらと旦那や世間の愚痴ばかりを話してくる自己中で精神的に情緒不安定な重い女がいましたよ。何故か持っていた金属バットを振り回しながら話すから怖くて怖くてさ。
原田は、その赤いシャツを着たおばさんに似たタイプだね。原田に近付かないようにしないといけないけども、今は近付かないと分からないことがあるから判断に迷うなぁ」と僕は言って犬をモチーフにしたクッションを膝の上に置いた。
冴子さんと南さんはキャキャ言いながらノートパソコンで好きな俳優の顔写真を見て興奮していた。
ありがとうございました✨✨✨
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