砂の言葉
楠見オールナイト祭りが終わっていたなんて!!衝撃的する展開に作者の蒼井真ノ介が1番驚いているんです!あはははは。
僕はベッドに横たわって再び眠りに落ちそうになった。
「竣く~ん、お待たせ~。南の特製味噌ラーメンでぇ~す。味は最高に美味いから。バツのグンだから。めちゃめちゃ美味いからね。熱いうちに、食べてみそ、食べてみそ~っ」
「いただきま~す」僕は手を合わせてから掻き込むようにラーメンをすすった。味噌ラーメンも美味いね。
「南さん、味噌ラーメンって美味いね!」僕は醤油ラーメンが好きでラーメンなら迷わず醤油と決めているんだけどもね、味噌ラーメンの深みある味に感激してしまった。味噌パワーは素晴らしいから体に良さそうだ。
「竣くん、おにぎりもあるからね。紅鮭味噌おにぎりと梅おにぎりだよ」と南さんはテーブルの真ん中に小皿に入れたおにぎりを置いた。
「ありがとうございます。おにぎりも頂きます」僕は紅鮭味噌おにぎりを食べた。これまた美味すぎる。厚く味噌を塗ったおにぎりの中に大きな紅鮭が入っていた。南さんによると朝早く市場で買った紅鮭を使ったとの事だ。
「美味い」僕は味噌ラーメンを食べながら紅鮭味噌おにぎりを食べた。味噌パワーが体全体に染み渡る。
南さんは味噌ラーメンを食べ終えると(南さんは食べるのが早いなぁ~)梅おにぎりをすぐにたいらげた。
食事中、お互いに、特に何も話すことなく落ち着いて食べれた。僕も食べ終えると食器を持って台所へ持って行こうとしたら南さんが「いいって。私がやるからいいって。ありがとうね」と南さんは言って台所に素早く食器を持って行った。
僕はベッドに腰を掛けると窓の外を見た。エメラルドグリーンの海があまりにも美しすぎる。このまま、お日様島で暮らすのも悪くないかもな。都会の喧騒から離れて懐かしい故郷みたいな島で穏やかに生きるのも悪くない。新鮮な空気や水があれば肉体も精神も浄化されるだろうな。自然の力には限界がない。自然の脅威を避けるために都会を作った人間の叡知は本当に素晴らしいけどもね。僕がもう少し大人になったらお日様島で暮らしたいな。ここで暮らす人たちが羨ましいよ。疲れ果てた都会で埋没して生きるのは余程の覚悟がないと生き残れないと思う。人間の本能は陽の当たる場所を求めるから美しい自然がある世界に帰りたくなるんだと思うなぁ。お日様島なら自分の姿を取り戻せそうな気がするね。良い島を見つけたよ。体力が回復したら、お日様島を見て周りたいなぁ。
「ところで南さん、お水が美味いんですが、何でこんなに美味いんですか?」
「天然の温泉水なんだよ。お日様島は天然の温泉が出るからね。美味しいでしょ?」と南さんは言って水を飲み干した。
「さて、竣くんのスマホを探しに行く前に大事な話があるのよ」南さんは落ち着きなくせっかちに立ち上がってソファーに座ると目を閉じて頭を上下左右に揺らしたり曲げたりしながら「う~ん、う~ん」と繰り返しうなり声を出した。
「南さん、急にどうしたんですか?」
「実はね、先日、竣くんが寝ている間、2日前の深夜にね、奇妙な事が起こったのよ。私も寝ていたらね、海の方から人が騒ぐ声がしたのよ。最初は夢と現実の区別ができていなくてさ、半分寝ている頭で窓の外を見てみたらさ、怪しい人影が見えたような、見えなかったような」
「本当に?」
「朝に様子を見てみたらね砂浜にね、人間の足跡があったのよ。足のサイズは21か22センチくらいあったの。行ったり来たり、うろちょろ、ちょこまかと動き回る足跡がね。しかもね、砂浜に文字まで書いてあったんだよ」
「ま、ま、まさか~ぁ!? 信じられない」
「竣くん、本当に本当の本当で本当よ。すげぇ数の足跡だったし、すげぇ綺麗な文字だったんだよ」
「南さん、写真は持っていないんですか?」
「スマホで写した」
「おお! 是非、見せてもらえますか?」
「竣くん、私の話を信じていないの?」
「何とも言えんですな。見てみないと分からないですよ」
南さんは急いで自分の部屋に行くとパソコンとスマホを持ってきてテーブルの上に並べて置いた。最初にスマホを見せてくれた。
砂浜に女性と思われるサイズの足跡が所狭しとあった。中学生か高校生くらいの女の子だと思う。円を描くように歩き回ったかと思ったら走り出してみたり、体重を掛けて踏ん張ったような足跡もあった。何か荷物を引きずったような跡もあった。
「本当だ。いったい何の足跡なんだろう?」僕は不思議な思いで足跡の写真を見ていた。
「竣くん、やっぱり女の子なのかな? 子供にしては大きな足跡だし。この大きなへこみ具合いの跡、何を引きずった跡なのかも分からないんだよねぇ」南さんはスマホの画面を明るく調節した。
「南さん、今も砂浜に跡が残っているのかな?」
「もうないと思うよ」
「そうですよね。波打ち際となれば直ぐに消えてしまう」
「でね、竣くん、こっちが砂の上に書かれていた文字だよ。ちょっと見てよ。少し読めない所があるんだよね」南さんはパソコンを起動させて画面を見つめた。素早く動かすと画面に文字が現れた。
「どう、竣くん。読める?」南さんは僕の顔を見つめて眉をしかめた。
僕は画面を見つめた。
画面には、
『わ✕✕✕も✕✕✕✕す。海✕✕✕✕✕✕✕✕✕す。も✕✕✕ら✕✕✕す。 ア✕✕✕より』と書いてあった。
僕は目を閉じて顎をさすった。目を強く閉じて顎をさすった。目を開けて顎をさすった。僕は腕を組みながら、それとなく窓の外を眺めた。書いてある文字の意味が全く分からなかった。
ありがとうございました!




