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カフェ「キャッツ」

楠見オールナイト祭りに戻ってきたよ~✨美華、瀬都子、梨香、ディーン・マックィーンに会いたいなぁ✨あと1人(喧しい幼なじみのこと)いたけど、まぁ、いいか(笑)

 「消えているよね」僕は緑色のテントがあった場所を指さした。

 

 「いててて。肩が張っている。首も痛いし背中も筋肉痛だわ」憲二は肩を上下に動かしてほぐした。

 

 「夢ではないよね。同時に夢を見る奇跡があったらあったで面白いけれどもさ」僕はポケットをまさぐった。

 

 「夢ではないね。500円のチラシがあるもの」ナイト・オコットルのホログラムが懐かしい。風邪で戦線離脱を余儀なくされて、毎日、逞しい奥さんにベッタリの様子だったなぁ。

 

 結局、祖父のもとに、リュウ・エイジ・オコットルを呼び戻す事はできなかった。

 

 リュウ・エイジ・オコットルはフェアリー・ブルーランドの住民になっていたし、そこに人生があると分かった。

 

 亡き妻のメグミムの思いを捨ててまで、ナイト・オコットルの元にいたくはないだろう。もう2度と祖父の家に戻る事はないと悟っていると思うね。

 

 今頃になって、ようやくナイト・オコットルも孫の自立を妨げている事に気付いたかもしれないしさ。

 

 お互いに何らかの形で再会を果たしたら、ナイト・オコットルは孫のリュウ・エイジ・オコットルの立派に成長した姿を見て喜ぶと思うなぁ。

 

 「もう楠見オールナイト祭りは終わったのかもな。憲二、今何時だ?」

 

 「日付は祭りの初日で、時刻はお昼前」憲二は時計を2度見した。

 

 「あははは。そんなバカな。あれだけ激しい時を過ごしたのに。嘘だぁ~」僕はスマホの日付と時間を見た。

 

 確かに日付は初日で緑色のテントを見つけた時刻帯と同じだった。

 

 僕はボヘミアンみたいな怪しげな男から買った500円のチラシを見つめた。チラシを畳んでポケットに入れると「皆が待っているから探しに行こうか」と言って歩いた。

 

 楠見オールナイト祭りは人で溢れて混雑していた。

 

 僕はカフェ「キャッツ」というのを見つけたので、「一休みしよう」と憲二に言った。

 

 「いらっしゃいまし。お2人様でよろしいですか?」アイドル並みの店員が言った。頭に猫の耳の形をしたカチューシャを付けて微笑んでいた。

 

 「はい」僕と憲二は窓際の席に案内されて座った。

 

 「メニューです。御注文がお決まりになりましたら『にゃんにゃんにゃん』と私に声を掛けてくださいまし」ショッキングピンクのメニューが目に痛い。

 

 「えっ!? 『にゃんにゃんにゃん』ですか?」と僕は驚いて聞いた。

 

 「はい。『にゃんにゃんにゃん』でよろしくお願い致します」とアイドル並みの美人な店員は言って1回転をするとキッチンに行った。

 

 「いやぁ~、参った。『にゃんにゃんにゃん』はキツいよな」と僕は頭をかきむしりながら言った。

 

 「竣、『ごろきちごろにゃ~ん』と呼んだ方が愛嬌があるよな」と憲二はメニューを開いて言った。

 

 「う~ん、よく分からんね」僕は頬杖をついたままメニューを捲った。

 

 「メニューは至って普通かい。これにするかな」僕はメロンソーダに決めた。

 

 「俺はオレンジジュースでいいや」憲二はメニューを閉じた。

 

 「呼ぶの?」僕はおでこに手をやった。

 

 「竣、呼びなよ」憲二はニヤニヤしていた。

 

 「にゃんにゃんにゃん」僕はキッチンに向かって大きな声で店員を呼んだ。

 

 店員は来なかった。

 

 「もうイヤだよ。憲二が呼べよ」僕は顔が真っ赤になっていた。他にいたお客様がこちらを見て笑っていた。

 

 「俺は猫アレルギーだからダメだ」と憲二は意味不明な返答をした。

 

 「なんだよ、それ。ハァ。わかったよ。にゃんにゃんにゃん!」僕はさっきよりも大きな声で呼んだ。

 

 店員は来なかった。

 

 他にいたお客様が爆笑していた。

 

 「ブフッ。フフフフフ」憲二は口を押さえて笑っていた。

 

 「なんだよ、憲二。笑うなよ。生真面目な性格でもある僕の心は傷ついた」僕はメニューを閉じてキッチンに行こうとした。

 

 アイドル顔負けの美人な店員は慌てて走ってきた。

 

 「お客様、遅れて申し訳ございません。他のお客様が御注文されたタラコスパゲッティを制作中でした。にゃんにゃんにゃんは届いておりますよ~お!」と深々と頭を下げたアイドルよりも可愛い店員は、手で猫の耳のカチューシャを動かした。

 

 「メロンソーダとオレンジジュースをお願いします」と僕はメニューを指差して言った。

 

 「かしこまりました。他に御注文は?」

 

 「ないです」僕は少しだけ気持ちがシュンとして言った。

 

 「ありがとうございます。他に御注文がありましたら、私に『にゃんにゃんにゃん』とお声を掛けてくださいまし」と可愛い声を出すアイドルよりもキュートな店員は、サービスなのか、2回転してキッチンに行った。

 

 

 

 

つづく

再び楽しい楠見オールナイト祭りへようこそ。わりとシビアだったフェアリー・ブルーランド編、魔法の国編、異世界編の後だから、明るく、幸せな気持ちにさせたいね✨また読みにおいでね!

o(゜▽^)ノ

♪(o・ω・)ノ))

(●’∇’)ノ

(* ̄▽ ̄)ノ~~ ♪

ヾ(´ー`)ノ

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